絶対に見逃しなくラブドールの物語!

キヨシ:俺の名はキヨシ。平凡なサラリーマンだ

すず:ごめんなさい、キヨシくん。他に好きな人が出来たの。

キヨシ:ええ、そんなあ、
三年間付き合ってたすずに振られてしまった
もうごりごりだ。今後一生女と付き合ったりするもんか

ラブドール



キヨシ:ん?なんだここ、ラブドール専門店

店員:いらっしゃいませ~

キヨシ:あ。いや俺は・・・・
去ろうと思ったが、店に並ぶ人形を見て驚いた
す、すごい。本物みたいだ

店員:初めてでしたらこちらの価格帯のものがおススメですよ
キヨシ:ご、5万円・・・・高いな・・・・
いや、彼女もいなくなった今、性欲処理は重大な問題だ
どうせこれからはデート代もかからないんだ。買ってしまえ
買ったはいいけど、後のこと何も考えてなかったな・・・

ラブドール

後日、ラブドールが家に届いた
キヨシ:うっ、なんだこれ。不気味だな
店ではもっと可愛く見えたのに
なんというか、俺の部屋にこれがいることに違和感が・・・・
5万円もしたんだ。今さらやめられるか
あそこにローションを塗り、いざ実践!
うおおお!なんだこれは
ふう、肌は柔らかいし、中の具合も最高だったなあ
と、ルンルン気分だったのも束の間・・・・
ラブドールは繊細で、キチンと手入れしないと劣化してしまうらしい

出した後は水洗い
シャワーの水圧を強くして一気に流してしまうのがおススメだ
次は拭き取りだ。水分が残っていると当然衛生的によくない
だが逆に強く拭き取り過ぎると、今度は肌から油脂が浮いてきてしまう。この油脂は人間と同じように肌のテカリの原因になる

ラブドール

だからシリコンの肌の劣化を防ぐためにベビーパウダーを塗るのだ
これは後から調べて分かったことなのだが・・・
このドールの肌に使われているのはただのシリコンではなく、TPE(サーモプラスチックエラストマー)という素材だ
ざっくり説明するとこれは柔軟なプラスチックであり、従来のシリコン肌と比べて遥かに柔らかく、あのいやなゴムの匂いが少ない
そしてなによりこれが一番重要
TPEのおっぱいはメチャクチャ柔らかい
何も意識せずに買ったが、こんな掘り出しものだったとはまるで介護してるみたいだな
今日からずっと部屋にこいつがいるのか・・・・
だがこれはまだ序の口。ラブドールの世界はもっと深かった

ポイント①
ラブドールの手入れは意外と大変】

あれから俺は家と会社の往復。たまにドールを使ってすっきりする生活が続いていた
キヨシ:うーん。なんだかこいつにも飽きてきたなあ
買った時はもちもちだった肌も、劣化で細かい傷だらけだ
だんだん面倒臭くなって手入れをサボってちゃったからな・・・
使用感自体は悪くなかったし、次はもっと良いやつを買ってみようかな
な、なんだこれ。人間と変わらないじゃないか
いや、むしろ人間より美人なのでは
気になる値段は・・・・ひゃ、100万円!?
さ、さすがに無理だ・・・ってすず?値段・・・は30万円か

ラブドール

一週間後、結局買っちゃったよ・・・
キヨシ:すごいよな。あの価格になると乳首の色や形まで特注なんだから。
おっ、きたきた!さっそく、使てみるぞ
むふふふふふ~
実際に生で見ると本当にすずにそっくりだ。さすが30万円のラブドール
あそこの締まり具合だけでいうなら本物より圧倒的に気持ちいい
まず電動で人肌に温まることに驚いたが中の吸いつきがまるで違うのだ
例えるなら、すごく柔らかいものに噛みつかれているような・・・・
これを体験しちまったら、もう戻れないよ

ポイント②
【最高峰のラブドールは人間と見分けがつかない】

会社

ダシオ:おーい、飲みに行こうぜ
キヨシ:悪いな。今月厳しいんだ
ダシオ:またそれかよ、付き合い悪いな。もしかして、すずに振られたの。まだ引きずってんの?
キヨシ:そ、そんなんじゃない
ダシオ:くよくよすんなって。女なんて星の数ほどいるんだからさ
キヨシ:くっ・・・彼女持ちだからって。イヤミなやつだ。俺だって、家に帰れば彼女たちが待ってるんだ

ラブドール

自宅

キヨシ:ただいまー 遅くなってごめんね
悪かったってサトミ。ほら、新しい服買ってきたよ
こらこら、ヤキモチやかないでくれよノゾミ
俺は皆を平等に愛してるんだから
え、今夜も?皆好きだなあ。よし、頑張っちゃうぞ~
気付けば今月、彼女たちの服やウィッグ代だけで20万も使ってしまった。仕方ないな。女の子は何かとお金がかかるもんだ
だが、彼女たちとの幸せな生活は、長く続かなかった・・・・

ポイント③
ラブドール交際沼へようこそ】

キヨシ:うう・・・はやく帰らないと彼女たちが心配だ
もういい、こんなところにいられるか
キヨシ:課長、俺仕事やめます
課長:ええ?
キヨシ:俺には帰りを待ちわびている人がいるんだ
ダシオ:キヨシ・・・すずに振られたのがそんなにショックだったのか・・・お前、変わっちまったな
それから更に月日は流れた
ドールたちの服代でサラリーマン時代の貯金はどんどん減ってゆく。今になって思えば、この時の俺は正常ではなかった

デート中

ラブドール

キヨシ:おっ、ダシオ。久しぶり
ダシオ:キヨシ・・・
キヨシ:なんだよ。そっけないな。おまえつむぎちゃんとはまだ続いてるのか?
ダシオ:あ、ああ、まぁな
キヨシ:そりゃいいや。俺も新しい彼女が出来たんだよ。家近いから寄ってけよ。紹介するよ
ダシオ:新しい彼女?
キヨシ:ただいま~
ダシオ:な、なんじゃこりゃあああ!?
キヨシ:ほら、この子だよ。新しい彼女のミホ。見ろよ、オーダーメイドなんだぜ
ダシオ:いい加減にしろよ!これからもずっとそうするつもりなら金輪際かかわらねーから、バタン!
キヨシ:そ、そんなあ・・・
俺はついに親友からも見放されてしまった。どうして俺の愛の形が分かってくれないんだ・・・

入社一年目

キヨシ:うう・・・なんだよこのブラック企業
ダシオ:早く上にあがって見返してやろうぜ
キヨシ:すずに振られたコンプレックスで俺の方から距離を置いてたけど、あいつはあいつなりに心配してくれていたのかもしれない
変わらなきゃ・・・今までありがとう。みんな
俺はそれからドールを一人一人処分した。きちんとしたメーカーで買ったドールならば、俺のように止むに止まれず一緒に住めなくなった時でもメーカーへの里帰りという形で丁重に引き取ってくれるのだ

ラブドール

一か月後

キヨシ:いらっしゃいませ~
俺は近所のスーパーに就職し、もう一度やり直すことにした。彼女たちとの思いでは、ずっと胸に残っている
あれ、キヨシくん?
キヨシ:す、すず・・・
俺はやっとラブドールの沼から抜け出すことが出来た
この手の温もりは、俺が久しく忘れていたものだった

ダシオ:うう・・・つむぎ。俺の何が悪かったんだ
ダシオ:ん?この店は・・・ラブドール専門店