リアルドールと紅の破壊者ー第四回

前回によって

エリー:悪い、仕事が先延ばしにされて安心したらどっと疲れが出たみたいで
迷惑かけてすまなかった。すっかり暗くなってしまったな、本当に申し訳ない、明るければ探し物もしやすかっただろうに、明かりを貸すから、これで勘弁してくれ。
リズ:い、いえ。問題ありませんよ!
エリー:そうか。悪いな、じゃあ、行くか
リズ:・・
エリー:どうした?
リズ:あ、いや!そのマスクはどうして、あっ!!つい聞いちゃいましたけど、これ、本人に確認しちゃいけない話なんじゃないですか?し、失敗したかもしれません。
エリー:ああ、これな・・ええと、傷があるんだよ、以前の仕事の時リアルドールにやられたんだ。かなり深手で、人には見せられなくて、まあ、気にするな。マスクをしてるのは俺だけだ。別に仕事においてそれが必要、というわけでもないしな。俺が勝手に、諸事情で付けてるだけだ。
リズ:そうなんですか。やっぱり反撃に遭う、というのはそういうことなんですね。修復の効くドールが、人間に一生消えない傷を負わせる。破壊、「生」を断たれようとされているなら反撃という行為は理解できますけど。それでも、この仕打ちは流石に。すみません、デストロイヤー様。込み入った部分を聞いてしまって
エリー:いや、いいさ。そんな顔するなよ。デストロイヤーになったからにはこんなのは日常茶飯事なんだ、傷を受けるのは慣れてる。気にしないでいい。
リズ:はい。

ラブドール

エリー:ああそれと、デストロイヤー様はやめてくれないか?役職名を呼ばれると背中がむずがゆくなる。
リズ:ああ、すみません!じゃあ、えっと。
エリー:エリーだ。気軽にそう呼んでくれ。
リズ:分かりました、エリー様!
エリー:様も要らない
リズ:わ、分かりました。エリーさん。
エリー:うん、じゃあ、リズ。早く行くぞ、お前の主人の形見を見つけるんだろ
リズ:はい!
エリー:そうと決まれば早速動こうか。形見といえば、本人の部屋を探るのが一番早いな。リズ、部屋の位置は覚えてるか?
リズ:あ、はい!2階にあるはずです!私が案内しますね。
エリー:ああ、よろしく頼む。

ラブドール

2人は二階に到着!
リズ:こちらですよ!この階段を登ればすぐ
エリー:っ!!リズ、危ない!
天井のガレキが落ちった!
エリー:危うくガレキの下敷きになるところだったな。間に合って、良かった。大丈夫か?この家、流石に古いしな。ところどころにガタが来てるみたいだ。
リズ:だ、大丈夫です!エリーさん、ありがとうございます。だけど、急なことで驚きました。やはりこれは心臓に悪いですね。
エリー:ドールだから心臓はないだろ。
リズ:あ、その通りです!
エリー:未だにドールがなぜ人間のように動くのかは不明だけどな。宝石の力だとしても、不思議なもんだ。それにしてもガレキが邪魔で通れないな
そうですね、どうしましょう、別の階段へはこちらから行けないですし。
エリー:心配するな。ここは男の俺に任せろ。
リズ:え?
エリーは一瞬でにガレキを掃除しました。
エリー:ほら、これでどうだ
リズ:す、すごい!!一瞬で!!い、今のどうやったんですか!?もう一回やってください!!
エリー:また後でな。デストロイヤーだからこそできる能力ってやつだよ。
へえ、かっこいいですね!
エリー:どうも。ほら、案内してくれ

ラブドール

リズ:はい。アルバートの部屋、ここですね!入りましょうか。あ、あれ?開きません。
エリー:鍵はかかってないみたいだし、立て付けが悪くなったのかもな。リズ、どいてろ。ほら、開いたぞ。
リズ:すごい。さっきも思ったんですが、エリーさん、大胆ですね。
エリー:これくらいしないと先に進めないからな。行くぞ。
リズ:ここが、旦那様の部屋。
エリー:調べよう。きっと何かがあるはずだ。
リズが調べ始めた。

ラブドール

エリー:そういえば当の本人はどこに行ったんだろうな、お前を置いてリズ、知らないのか?
リズ:わかりません、私目覚めるお前のことはあまり覚えていないので、
エリー:ああ悪い、そうだよな。
リズ:そのクローゼット、どうですか?何かありましたか?
エリー:いや、びっくりするくらい何もないな。中身が丸ごと抜かれているみたいに空っぽだ。どういうことなんだろうな
リズ:丸ごと・・

ラブドール

エリー:何か見つかりそうか?
リズ:いえ、まだ何とも言えません。
エリー:そうか。気が済むまで探せよ。それまで付き合ってやるから。
机の上に、主人の顔が描かれた絵が飾られている。
リズ:これは、これは、私の・・
リズは昔旦那様と一緒にいることを思い出していた。