リアルドールと紅の破壊者ー第五回

前回に続けて

リズ:旦那様!
旦那様:あれ、どうしたんだい、リズ。何かあったかな?
リズ:すみません、就寝前に訪問してしまってあ、あの、私、旦那様にプレゼントしたいものがあるんです。
旦那様:プレゼント?
リズ:いつもありがとうございます、旦那さま!こんな私を購入してくれて、優しくしてくれて、一緒に話をしてくれて本当に嬉しかったです。あの、絵を描いたんです。旦那さまに。受け取ってくれると、良いんですが・・
旦那様:・・・ああ、本当に、ありがとうリズ!これは僕かい?そっくりだなあ、君は絵が上手なんだね。とても嬉しいよ。
リズ:え、えへへ。どうにか、私のできることで感謝を伝えたくて喜んで頂いて良かったです。
旦那様:ふふ、君からのプレゼントなんて初めてだね。ありがとう、大切にするよ。ああ、それとね、リズ。緊張しなくていいよ、普段通りでいてくれないかい?だって僕と君は・・

ラブドール

思い出が終わり・・
リズ:・・ああ、これ、私がこの屋敷に来てしばらく経った後に旦那様に贈ったものです。額縁に入れて、ずっと大切にしてくれていたんですね。本当に、嬉しい。でも、何かが引っ掛かります。私と旦那様は主人とメイドの関係なのに、どうして私はこんなことを?会話に、何か別の関係値が見えるような・・ダメです。肝心な部分が思い出せません。
エリー:何か見つかったか?
リズ:あ、いえ、めぼしいものは何も。すみません。ただこの、絵が見つかりましたが、これは旦那様の形見と言うより、私が旦那様に贈ったものですから。少し、性質が違います。
エリー:ああ、この絵。お前が描いたのか
リズ:あ、そうなんです!なかなか上手いと思いませんか?
エリー:ああ、よく描けてるな。俺は絵なんか苦手だから、うらやましいよ。
リズ:そうなんですか?
エリー:ああ、時々絵を使って説明するときには、仲間によく下手クソだとか言われる。俺は一生懸命に描いたつもりなんだが、
リズ:ふふ、それも大切な個性ですよ!
エリー:ありがとな。じゃあどうする?この部屋にはこれ以外に見つからないみたいだ。本人の部屋だし他にも何か出てくると思ったんだが、空き巣、または以前のデストロイヤーにでも盗られたか

ラブドール

リズ:え、ここ、前にもデストロイヤーが来たことがあるんですか!?
エリー:戦時中なら、多分な
リズ:それじゃあ、どうして私はその時に狙われなかったんでしょうか。リアルドールは発信機に反応するんでしょう?エリーさんだってもっと早くに私を見つけてもいいはずなのに
エリー:ドールは、基本的に仮死状態で眠ると発信機には表示されない。監視の隙間をくぐってしまうんだ。ドールは人間と同じように眠れるんだよな。変な話だが。まあそれで、お前は目覚めた瞬間から発信機に表示された。たまたま俺は近くにいたからな、だからすぐに駆け付けることができたんだよ。
リズ:なるほど、そういう仕組みなんですね。でも、仮死状態、って?その仮死状態になるには何か条件があるんですか?普通に眠るだけではダメですよね?
エリー:ああ、それは・・

エリーがリズの襟に付いてた宝石を持って

ラブドール

エリー:この宝石が鍵なんだ
リズ:っ!ち、近い!!前から思ってましたが、エリーさん、距離感がおかしくありませんか!?あ、あの、少し離れてもらえませんか?
エリー:あ、悪い。ついクセで・・
エリーはリズから離れました。

ラブドール

エリー:それで、この宝石はドールの源なんだ。仕組みは分からないが、ドールはそれを身に着けている間だけ活動することができる。ドールを再起不能にさせるなら、その宝石を壊せばいい。デストロイヤーは、この宝石を壊しドールを再起不能にさせることをドール破壊と呼ぶ。ドール破壊にはその宝石を壊すだけで十分だけど、ドール自身はその宝石を壊せないんだ。自殺、いや自壊防止か。ドール本人がそれを破壊すると一定時間空いた後、なぜか元に戻ってしまうみたいで宝石がドールから離れる、その宝石が自身の手で壊されることが仮死状態になる条件だな。まあ、こんな具合だ。納得したか?
リズ:はい、教えてくれてありがとうございます!私は目覚めた時にはこの宝石を身に付けていました。眠ってから目覚めるまで、誰でも私に近づいていないなら、私が、自分の意思で死のうとしたのですか?うーん、よくわかりません。

ラブドール

エリー:さて、この部屋の捜索も終わったことだし、他の部屋を調べてみろか?協力するよ。
リズ:あ、ありがとうございます!どこにあるなんて予想はつきませんが、この部屋に無くても多分どこかにあるはずです。ここは旦那様の家ですからね。手当たり次第に探してみましょう。

エリーと共にこの家を探索し始めた。
一階のある部屋に入った。