リアルドールと紅の破壊者ー第17回

エリー:ダメだ。このままじゃ俺たちの関係は終わる。どうにか、どうにかしないと、解決策を、出さないと。それなら、俺が・・待ってくれ、リズ。
リズ:とうしました?やっぱり体調がすぐれませんか?
エリー:いや、違う、違うんだ。その・・少し、オレの話を聞いてくれ。あのな、リズ、俺と一緒に来ないか?お前が記憶持ちじゃなくても、オレがどうにかしてお前を守るから。だから,このまま、俺に壊されなくても良いだろう。
リズ:ダメですよ、エリーさん。本来の目的をお忘れになっては、あなたはとても優しい人・・そのことは短い間ですが、一緒に過ごして、よく理解しています。こんなことを言うのもアレなんですが、形見を探すのもあなたと一緒だから楽しくて、あなたと話せて私は嬉しかったです。幸運だなって思いましたよ。
エリー:オレもだ、リズ。
リズ:でもね、だからこそ私はあなたに仕事を全うしてほしいのです。あなたと約束した通り。捜索を終えたら私を破壊してくださいね。それがあなたの仕事なんですから
エリー:・・そう、だったな。悪い、変なことを口走ってしまった。
リズ:いえ、良いんですよ。さあ、先に進みましょう!
エリー:ああ。
2人は地下のある室にたどり着いた。

ラブドール



リズ:わ、急に開けましたね!広い空間、ここ、本当に地下なんでしょうか?旦那さままったらこんな場所を所持していたんですね。知りませんでした。ね、エリーさん!少し調べてみましょう!
エリー:ああ。
エリー:これは?
リズ:あ!それ多分私のです。私が持っておきますね。
2人はそれを拾いました。
リズ:エリーさん、見てください。これ、これ全部、旦那さまのものです。
エリー:っ!!どうして、こんなところに・・
リズ:わ、わかりません、私にも何がなんだか。でも、本当にここ、見覚えがあります。なんでしょう。私・・何か大切なことを忘れているような・・あ、その、棺は・・
愛しているよ・・リズ。
どうか、君が無事でいられるように・・
いつまでも待っていますよ、XX
リズ:旦那さま・・?私、どうして・・

リズは「リズ、ねえ、リズ、お願いがあるんだ。どうか・・僕のXXになって」という旦那さまの言葉を思い出しました。

ラブドール

エリー:どうしよう、ついにこの時が来てしまった。主人の形見が、見つかってしまった。嫌だ、嫌だ・・リズともう会えなくなるのは、お前を失ってしまうのは、こうなったら、どうにかして彼女の記憶を取り戻させるしか・・リズ?どうした?
リズ:エリーさん、私・・思い出しました。
エリー:!!本当に、本当か、リズ!?
リズ:はい。
エリー:ああ、良かった、これで・・
リズ:だからね、エリーさん。早く私を壊してくれませんか?
エリー:え?
リズ:すべて思い出しました。旦那さまとの日々を。私と彼が、何であるのかを。私たちは・・私と、アルバートは・・強い絆で結ばれた、友人だったんです。
リズはまた昔のことを思い出しました。

ラブドール

リズ:私はある日・・旦那さまと約束をしました。
アルバート:ねえ、リズ、お願いがあるんだ。
リズ:なんでしょう、旦那さま?
アルバート:あのね、改めて言うのは気恥ずかしいんだけれど・・君に、生涯僕の傍に居てほしいんだ。僕の友人として、どうかな?
リズ:友人・・そんな、私が、良いのですか?リアルドールである私がそんなこと・・
アルバート:卑屈にならないでくれ、前に言っただろう?君は立派な女性なんだってドールなんて関係ないから・・どうか僕の友になってほしい。どうか、僕と一緒に居てほしい。
リズ:もちろんですよ、旦那様、私もあなたのことは好きですから。ずっとあなたと共に添い遂げることを誓いましょう。私の友人として愛してますよ、アルバート
アルバート:ふふ、僕も愛しているよ。この先、ずっと一緒に居よう。

ラブドール

彼と生涯を共にする約束。
彼が申し出てくれたことで、私と彼はドールと人間の主従でない、特別な関係になったんです。
とても、ともて嬉しい日でした。
彼は私を購入した時から私を人間として扱い、友人として対等に話をしてくれました。
時にはチェスをしても盛り上がったり、一緒に散歩に出かけたり・・ピクニックに行ったこともありました。
だからこそ、私がアルバートに心を許すのに長い時間は要らなかったんだと思います。彼との日々は本当に素敵でした・・この時間が、将来ずっと続いてほしいと願うほどに。しかしその生活は突如として断ち切られたのです。

ラブドール

少し経った後、新聞で奇妙な記事をよく目にするようになりました。
リズ:王都に住むドールがまた誘拐されたらしいです。怖いですね、何か被害が出なければいいんですけど。
それはとある組織が、ドールを基にした。殺戮兵器、「マリオネット」を作り始めた予兆でした。マリオネットの数は徐々に増え、王都を中心として人々を次々に葬っていきました。彼らはドールを狙いませんでした。次のマリオネットの種となるから、そう命令されていたのでしょう。どこかの組織がマリオネットを使って人々を殺す理由なんてわかりませんでした。もしかしたら、何かの憂さ晴らしのためだったかもしれません。そんな記事がよく新聞に出ていました。私たちの住むこの町は王都からかなり離れている・・だけど安心はできず、私たちは怖々とした日々を送っていきました。しかしとうとう・・・