リアルドールと紅の破壊者ー第19回

デストロイヤーに告ぐ。「逃げて、逃げてくれ、もうそこまで来ている、すまない、どうか、逃げてくれ」「ダメだ、きっともう、彼女は」
リノーツ:これ、俺に言ってんの?逃げろって何・・・?情報が少なすぎる。他には何か書いてあるかな。あ、このページとかマシじゃない?透かしてみよう
「〇月〇日、今日は、街でアルバートにアクセサリーを買っていただきました!彼が得選んで私にプレゼントしてくれたのです。本当に、彼が私のことを思ってくれるだけで心が温かくなって、嬉しくなってしまいます。私はドールなのに・・なんて言ったらまた彼に怒られてしまいますね。結構頂いたアクセサリーが増えてきましたので、失くさないように小物箱の中に入れておかなければ。これが私のコレクションというものでしょうか?これも、仕舞っておきましょう。宝物は、壊さないように大切にするべきですから。」

ラブドール

リノーツ:あ~、なるおど?リアルドールの日記・・ということはこの部屋はドールの部屋なんだ。でも、この文体じゃコイツはまるで人間のような・・へえ、当時を生きてたわけじゃないし、ドールについての知識も浅いから適当なことは言えないけど、ドールなのに部屋を貰ってたんだねえ?人間みたいに物までコレクションしちゃってさ。変なの・・ここに居たのは「普通のドール」じゃないね、これ。オレが昔アイツから聞いた話じゃ・・ドールというのはただの人間の補助目的の人形で、人間にただ使われ暮らしていた・・物として割り切っていた。そういう道具だったと思うんだけど、民衆が立ち上がり、戦争となったのはその便利な道具が無くなるのを恐れたからなんだよね?違うの?わっかんない。昔のことは。まあオレらルブルムソール協会のメンバーはアイツの存在でドールに対する価値観が人形としての物じゃなく、人間よりになってる部分があるから、あまり昔の価値観は理解できないんだけどさ。長年のドール調査で概観はわかってきたみたいだけど、細かいところは全く明らかになってない。文献やドールの記憶伝いじゃ全てを把握することができないからなあ・・そもそも保護してる記憶持ちのドールも少ないしね?せめて、アイツの記憶が戻れば、もう少しどうにかなるんだけど・・いや、難しいかもね。オレのことを全く覚えてないんだから、それより前のことなんて・・
「トン!トン!」地下からこういう音が来ました。

ラブドール

リノーツ:この音、地下から?一体何が・・
リノーツは部屋に出て隣の部屋の前に来ました。
リノーツ:あ、ここから地下に行ける!全く、おあつらえ向きな場所だね。急がなきゃ・・!うっわ、なにこれ!何かを引きずった、血の跡・・はー・・見慣れてるつもりではいたけど、いきなり出されると流石にビビるな。黒く変色してるし、かなり昔のものらしいね。上の階にも血があったし・・前にここで、何かがあったのかも。いや、今はそれどころじゃないか。この場所にはエリーは居ない・・ここからさらに下の階に行けるのか。梯子ね、ああいや、大丈夫大丈夫。きっと問題は、無い。う、痛・・

ラブドール

リノーツは自分の腕を見て・・
ああ、血がにじんできてる。やっぱり腕の傷、まだ痛むな・・まあ午前の仕事で同じところを抉られて、まともに傷が塞がってないんだから当たり前だけど、かなりザックリ腕が切れてること、傷が開いたことを会長やヤブ医者に言ったら止められたんだろうな。俺はケガすることが多い・・そんなのわかってるから、無暗に周りに言わないんだ。
いつもはかすり傷程度だったけど、こんな大怪我は久しぶりかも。きっとこの傷も跡になる。でも、服で隠せば問題はない。あーもう、コンディションが最悪だ。でも、これは仕方ないからね。早く行こう。!ここだ、何か聞こえる。エリーの声だ。それと、もう一人女の子の声・・いったい何を言って? っ!!
リノーツは地下の室に入ってエリーがリズに押し倒れたことを見ていた。

ラブドール
 
リノーツ:そこまでだ!!
エリー:っ!?リ、リノーツ。
リノーツ:ハロー、エリー。色々言いたいことはあるんだけど・・そこのお前、何してんの?そのナイフ、退けろよ。
リズ:誰ですか、あなたは?
リノーツ:聞く前に、先にナイフを退けてくれない?
リズ:誰だと、聞いているんです。
リノーツ:チっ!俺はエリーの同僚のリノーツ。直属の上司。上司といってもオレの方が数年先輩で便宜上ほんのすこし地位が上になってるから。そういうテイで優先的にエリーのサポートをしてる感じだけどさ。で、今回そいつからの定時連絡がないから無理やり応援に来ることになったんだけど、どうしてこんなことになってんの?
リズ:同僚、なんですか。
リズは立ち上がった。
リズ:エリーさんと同じ、デストロイヤー様ですね。それなら丁度良いです。リノーツさん、早く私を壊してください。