リアルドールと紅の破壊者ー第21回

リズ:アルバート、ねえ、どうしてなんですか、私はどうしたら良いんですか。
アルバートと自分が一緒に映った写真が飾られている。
リズ:あ、これ、私の宝箱。そうだ、最近これに触っていませんでしたね。アルバートが私にくれたブローチ、本当に、きれいです。アルバートとの思い出がよみがえりますね。あ、そうだ、それです。どうして今まで気が付かなかったんでしょう。こんなに簡単なことなのに。そうだ、そうですよ。大切なものは、閉じ込めてしまえばいいんです。
宝箱に入れるように。ずっと一緒に居られるように。私を愛してくれないあなたは、愛してくれたあなたに変えてしまえばいい。
リズ:アルバートの部屋に行きましょう。そうだ、武器を持ってこないと、調理場に、ありましたっけ。
リズは調理場へ行って包丁を手に入れてアルバートの部屋に入りました。
リズ:アルバート
アルバート:リ、リズ!?どうしたんだ、危ないよ。そんなものを持って歩いては。

ラブドール

リズ:ねえ、アルバート。あなたが私を愛してくれなくても、私はあなたのことが好きなんです。ずっと綺麗で、楽しかった日々を心に宿したいと思っています。だからね、お願いです。私のために、死んでくれませんか?
リズはアルバートを殺して地下の棺に閉じ込めました。
リズ:ふふ、大切なものは、宝箱に入れなくてはなりませんね。アルバートが用意してくれた棺、前に二つ取り寄せてしまったんですよね。少し抜けているところも、愛しい。アルバートの持ち物を全部集めました。本当に、この場所が、宝箱のようです。彼の服も着替えさせましたし、これで、私の完璧なアルバートになりましたね。今は少し世界が荒れていますけど、私が眠って、目覚めた後はきっと平和です。えっと、この宝石を壊せば、しばらく眠っていられるんでしたね。次目覚めたら、この部屋には毎日来ましょう。ふふ、妄想が捗ります。これでいつまでも一緒ですよ、アルバート。また後で、会いましょう。
また、現実の世界に戻った。

ラブドール

リズ:目覚めた後はもう平和で、穏やかに彼と暮らせるとおもっていたんですけど、まだデストロイヤーが居たんですね。誤算でした。
エリー:知らなかった。リズがそんな過去を持っていたなんて、記憶を取り戻したのは良いことだ。記憶持ちとして、保護する条件を満たしたのだから。でも、この状態だともしかして、もしかしたら、彼女のことは、保護できない?理解はしていたはずだった。この関係が長くは続かないなんて、わかってはいたんだ。こんなの、ただの一抹の夢なんだって、でも、だからってこんな終わり方になる必要はないだろう!?こんな、こんなことで!こんな些細なことで!!彼女を失うなんてリアルドールが主人を殺したからなんだ?そんなの俺たちには関係無い。誰が死んだとか、誰を殺したとか、そんなの全く、一ミリたりとも保護の条件に影響はない。無い、はずだ。

ラブドール

リノーツ:はあ、主人殺しのドールね、そんなことがあり得たんだ。ドールは人間の補助をする目的を作られた人形。そのはずだったけど。自我を持つからには、想定外のことも起こりうるのかな。作られた人形であっても精神疾患があるなんて、改めてみるとやっぱりおかしいよね。
リズ:私たち、ずっとこの屋敷でアルバートの形見を探していましたけど。絶対に見つかるはずがなかったんですね。だって、私の求めているものは全て、私が、ここに集めてしまったんですから。ここは、私とアルバートの理想郷です。私たちのことは放っておいてくださいと言いたいところなんですが。エリーさん。
エリー:なんだ、リズ。
リズ:ねえ、あなたも、私とずっとここに居ましょう?
リノーツ:はっ!?
エリー:・・!
リズ:あなたは、可愛いものがお好きなんでしたよね?私のところでなら、あなたを可愛らしく着飾ってあげますよ。それを許さない人なんていません。私しかいないんですから。ね、どうですか?この先もずっと一緒に居てくれないですか?エリーさんと話すのは楽しくて、嬉しくて、本当にすばらしい時間でした。だからこれからもそうでありたいのです。この場所で、私と共に暮らしましょう?
エリー:っ俺、は・・
リノーツ:ふざっけんな!!
エリー:リノーツ!?

ラブドール

リノーツ:さっきから黙って聞いてりゃ好き勝手言いやがって!!エリーはうちの大切なメンバーだよ、お前の勝手な都合でどうこうしていい存在じゃない!お前のことは嫌いだし、納得はいかないけど、黙って保護下に入れよ。もう!それで終わりだ!
リズ:なんですか、あなたは後からしゃしゃり出てきて、私とエリーさんの間に入らないでください!
リノーツ:はあ!?俺にとっちゃ後からしゃしゃり出てきたのはそっちなんだけどなあ!?
エリー:リ、リノーツ!ストップ!一旦やめろ!リズもちょっと待ってくれ、少しだけ、考える時間をくれ。
リズ:わかりました。
エリーとリノーツは別の部屋に行きました。