リアルドールと紅の破壊者ー第22回

エリー:落ち着け、リノーツそこまで声を荒げる必要あるか?
リノーツ:あるに決まってるでしょ。お前の処遇が勝手に決められそうになったんだよ?気に食わないんだよ、エリーのことを知ってるような態度取っちゃってさあ。
エリー:そうか。なあ、お前に確認したいんだが、リズは保護対象に入るのか?
リノーツ:ああ、お前もあの性格じゃ保護は難しいって思った?まあ、一応はね。性格趣味嗜好がアレでも、記憶持ちはかなり貴重な存在だから・・少し性格に難があるけどそれは別に問題ない。オレラに危害を加えなければ、の話だけど。でもあの様子じゃわかんないよ。ここを離れる気が無いんだったら、手足をもいで無理やり引っ張って行くしかないけど。
エリー:そ、それは待て。まだ方法があるかもしれないから。そう、彼女がどうなっていたって俺を救ってくれた彼女に変わりはないのだから。俺も、彼女を救えたのなら、俺はこれから先も、彼女と一緒に居たい。胸を張って誇れるように、ここではなく、正規の場所で。ただ、不安なのは、彼女が、俺たちと共に来てくれるかどうかだ。俺が、リズを説得しなければ。リノーツ、リズのことは俺が説得する。俺も彼女のことはどうにか保護したいと思ってるから。あの子を、失いたくないんだ。
リノーツ:そう、了解。あ、待ってエリー。これ持っておいて。
エリー:なんだ?これ、俺のペンダントじゃないか。お前、俺の部屋に入ったのか?
リノーツ:あー、それはごめん。でもこれ、要るかもしれないでしょ。今から持ってた方が良いよ。
エリー:ああ、まあ、一応は。ありがとう。
エリーはペンダントを手に入れた。

ラブドール

エリー:リズ、俺たちと、来る気はないか?その、俺たちの拠点なら、俺と一緒に居られるし。だから・・
リズ:魅力的なお誘いですね。ですがエリーさんのお願いでも、それはムリです。私、この場所に居ないといけないんです。愛されていた記憶を反芻するために、アルバートを置いていけと言うんですか?
リノーツ:無理そう?つーか本当に欲深いやつ。2人も自分の物にする気かよ。そのアルバートさんだけで良いじゃん。なんでエリーまで巻き込むかなあ?
エリー:このままじゃ先に進めない、何か、何か、とっかかりは無いか?
リズ:というかあなた、いつまでここに居るんですか?私とエリーさんの邪魔なのでもう帰ってくれると嬉しいんですけど、

ラブドール

リノーツ:は!?オレに言ってんの!?エリーがお前の提案を受け入れたって勝手に思わないでくれる!?っつーか、オレはエリーの増援としてここに来たんだって!こいつが連絡を寄越さないから俺は呼び出されてこんな夜中に仕事に出る羽目になったんだよねえ!
リズ:へえ、あなたが例の・・そっか、あなた、可哀想ですね。
リノーツ:あ?
リズ:だって、出る予定の無かった仕事にわざわざ駆り出されて来たんですよね?私たちのゲームに巻き込まれて同情しますよ、本当に可哀想。
エリー:おい、リノーツ?
リノーツ:お前、わざとなのかそうじゃないのか、よくわからないんだけどさあ。その言葉、使うのやめてくれない?嫌いなんだよ。
リズ:あら、お気に障りましたか?申し訳ありません。あなたがいかにも自分が不遇であるかをペラペラ話してきたので同情しただけなんですけど、言い分がめちゃくちゃですね~
リノーツ:初対面のお前には言われたくないんだよ。俺に対した言葉じゃなくても、見下されてるみたいで嫌なんだって
リズ:ふうん、でも、本当に、心から思ってるんですよ?可哀想だって
リノーツ:お前!
リズ:邪魔なんですよ、あなた。
リズは包丁でリノーツの首に当てていた。

ラブドール

リノーツ:っ!!う、ぐ・・
エリー:リノーツ!!
リズ:あれ?血が滲んできました。痛いですか?私、こっちの腕は傷を付けていないはずなんですけど・・もしかして、最初から怪我をしていたんですか?そんな状況でよく来れましたね?無理やり、駆り出されて、可哀想に。
リノーツ:やめろお前・・そんな言葉をオレに浴びせるな・・違う、オレは可哀想じゃない、これは俺の仕事だ。
リズ:そんな可哀想なあなたを、さらに追い詰めるようで心が痛むんですが、邪魔者は、殺さなければなりませんね?

ラブドール

リノーツ:殺す?
リノーツは後ろに一歩下がった。
リズ:っ!!
リノーツ:殺すなら殺される覚悟くらい出来てるんでしょ?エリー。悪いけど、もう無理だよコイツは。もう、どうにもできない。
エリー:っそんな。
リノーツ:ねえ、リアルドール。おれはさあ、この仕事を必ず遂行したいの。破壊するべきなら破壊。保護するべきなら保護を。デストロイヤーに危害を加える者は破壊。お前なもう、保護対象じゃない。ああ、本当に愚かな奴!来世はもっと良い者になれれば良いね?自分の不甲斐なさを恨みな。エリー、下がってろ!!ここは俺がやる!!
リズは一歩下がっていました。
リズ:っ、やめてください!!