コロナの影響で注文急増の中国のラブドール業界

新型コロナウイルスパンデミックで、世界経済は大幅に落ち込んでいるが、そのよう状況下でも好調な業種がある。その一つが中国のラブドール製造業者だ。

 ネット上では「中国は新型コロナ禍で嫌われているようだが、ラブドールを『平和の使者』としてトランプ米大統領やポンペオ米国務長官に贈ったらどうだろうか」などとの声も掲載されている。香港の英字紙『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』が報じた。

 中国経済は今年2月の公式製造業購買担当者指数が史上最低に急落し、1月と2月の輸出は合わせて同17.2%縮小し、株式指数は連日年初来最低と暴落を続けてきたが、このところ徐々に落ち着きを見せている。

 このなかでも、ラブドールの製造業者はパンデミック以来、世界中から注文が急増しており、中国経済の中でも数少ない業種として注目を浴びているようだ。

 中国東北部山東省のメーカー「Libo Technology」では2月以降、生産ラインのスタッフを約25%増の400人体制にし、24時間体制で稼働。従業員は世界中からの殺到する注文をこなすために、毎日12時間働いているという。

 広東省東莞市に拠点を置く「Aibei」は毎月に約1500体ものラブドールを生産しており、価格は2200元~3600元(約3万3000~5万4000円)で、売り上げは前年同月比で50%以上増加した。

 東莞市でも大規模な工場は月に約2000体を生産しており、小規模な工場で約300~500程度生産しているだという。同市の業界関係者は「いくら生産しても、現段階では、米国とヨーロッパからの注文に追いつけない」と語っている。

 Aibeiの総支配人である陸氏はサウス紙に対して、「中国文化は比較的保守的なので、ラブドールはほとんど市場に出回っていない。工場で生産されたすべての製品はほぼ輸出向けで、米国とヨーロッパが最大の市場だ」と指摘している。

 ネット上では「ラブドールは平和を促進するための素晴らしいツール。戦争ではなく愛を作るものだ。いつも中国を批判している欧米諸国向けにどんどん製造して輸出すべき」との意見も出ている。