《ラブドールは胎児の夢を見るか?》って画像ー前編

制作のきっかけは

「生殖」をテーマにしようと発想したのは、24、25歳の頃です。周りが結婚・出産を具体的に考え始める時期になり、同年代の女性の友達から「30歳までに子どもを産むようにプレッシャーを掛けられている」「何年も付き合った恋人と別れて、結婚できないかも」といった話を聞くようになりました。また、「子どもをあきらめた」という年上の女性の声を耳にする機会もありました。

 私自身も同時期に結婚し、子どもを持つことについて具体的に考えるようになりました。学業に専念したいので「いまはまだ子どもを持たない」という選択をしていますが、持つにしても持たないにしても、人生のなかではとても大きなことだと思います。そこからテーマを着想しました。

なぜラブドールで表現しようと考えたのですか。

 21、22歳ぐらいの時に、「人造乙女博覧会」というオリエント工業製のラブドールの展覧会を見に行った友人が「似ている人形がいたよ」と教えてくれたんです。セクシャルな人形に似ていると言われたことに対する嫌悪感が半分ありつつ、その人形の造形がとても美しかったのでうれしさも半分、という感じでした。
 ちなみに友人が展覧会で見た「奈々」という製品は、いまでは廃番になっています。あまりはやりの顔じゃないんだと思うと、ちょっと悲しいですね。

それからラブドールの世界に興味を持って、いつか何かできないかと考えていたのですが、なかなか機会がなくて。先ほどの「生殖」というテーマと絡めて、「ラブドール妊娠する」というアイデアを思いついたのが2014年のことです。もし人工知能を搭載したラブドール妊娠したら、きっと「マタニティー・ヌードを撮りたい」と言い出すんじゃないか。そんな架空のストーリーを想像できるような作品を目指しました。



 作品に使ったラブドールオリエント工業の「望月かおる」というタイプのもので、身長や肩幅、足の大きさがほぼ私と一緒でした。コピーみたいだな、と思うぐらい。重さ25キロのうえ自分と同じサイズなので、隣の部屋に運ぶだけでも重労働。ほとんど介護のような状況で、腰痛になりましたね。