リアルドールと紅の破壊者ー第七回

前回への続き・・・

メモにはアルバートの誕生日、4月21日と書いてあります。
2人は421で南京錠を・・
リズ:開きました。
エリー:中には何が入ってるんだ?

ブローチみたいなものが見えます。
リズ:え、と、これは・・これ、見覚えがあります。そうだ、これ、旦那さまが付けていた。え、これ、もしかして旦那さまの!?どうしてこんなところに
エリー:いや待て、おかしくないか?よく確認しろ
リズ:あ、すみません、これ、違いますね。裏に私の名前が彫られています。そうだ、これは旦那様に頂いて、お揃いで買ってもらったんでしたね。ブローチを頂いた時の思い出が浮かびました。

ラブドール

アルバート:リズ、リズ、ちょっと来てくれないかい?
リズ:どうされました?あ、そのブローチ、買われたんですか?とてもよくお似合いですよ。
アルバートそう、そのことなんだけど。はい!これ、君にプレゼント
リズ:え?
アルバート僕が付けているこれと同じものだよ。裏に名前も彫ってもらってね。僕とお揃いだ。どうかな、受け取ってくれるかい?
リズ:・・ありがとうございます、とても嬉しいです。でも、受け取れません。気持ちは嬉しいんですが、私は単なるメイドですので、あなたからは髪飾りもこのお洋服も頂きましたけれど、それはドールを所有物として引き立てるものですし。私はドールとして、一人暮らしの旦那さまの補助をするだけですから。そんな、お揃いだなんて・・まるで何か特別な関係があるようではないですか?私のことは、そうやって気になさらなくて良いんですよ。
アルバートうーん、別にドールが主人とお揃いのものをつけることは不自然ではないと思うんだけれど、変なところで頑固だね、君は。じゃあ、このブローチに約束してくれないかい?僕を僕のまま、受け入れてくれると。僕の言葉に、応えてくれると、どうか、これを君に受け取ってほしい。
リズ:なぜですか?どうしてそこまで、私に構うんですか?
アルバートなぜって、だって君のことが、大切だからね、リズ。
リズは現実に戻った。

ラブドール

エリー:どうした?
リズ:旦那様について、少し思い出しました。そうだ、最初の頃は私、旦那様と距離を取っていたんですけど・・根気よく彼が私に話かけてくれて、私を気にかけてくださったんです。私、ドールは人間と節度ある距離を置くべきだと教わっていたので、なんだかそれが覆された気がしたんですよね。このプローチもその時頂いたものです。旦那様との大切な品です。私、ずっとこの中にしまっていたんですね。
エリー:それは良い思い出だな。だが、どうしてそんなに大切なものを宝箱に?宝箱の使い方が少し違うような気がするんだが、ブローチなら、普段から付けるんだから小物箱に入れていれば良いんじゃないか?
リズ:このブローチを付けたことはありません。宝物はね、宝箱に入れておくんです。こんなに綺麗で大切なものは、その箱に入れて、その日の始まりと終わりに少し見るだけで良いんです。あまり触っていると、壊れてしまいますからね。この幸福の摂取は、少しだけが丁度良くて
エリー:そうなのか、それにしても、話を聞く限り、お前の主人はお前を愛していたんだな。
リズ:あ、そうなんです!嬉しいですよね。

ラブドール

リズはブローチ入手しました。
2人は奥の方に進む
リズ:きゃっ!
エリー:!大丈夫か、リズ!
リズ:は、はい!少し服が破れちゃいましたけど、足を引っかけただけで特には問題も・・
エリー:中身が出てるな

リズの脚のところ、破れて赤い中身が出た。
リズ:え?え、何ですかこれ!?赤い、綿?
エリー:そこに座れ。俺が直してやる。

エリーがリズの破れを治し始まった。
リズ:これ、どういうことなんですか?驚いちゃいました。最初は血かと思ったんですけど、私は人間ではないのであり得ませんし。綿だとわかって安心しましたが、どうして赤なんでしょう。
エリー:どうしてだろうな、ドールは全て、内部には赤く染色された綿が入っているんだ。別にだから何だというわけでもない。その事実だけ、ドールを作った奴の考えることは分からないが、人間の模倣ってやつなのかもな。ドールは痛みを感じない。だから針と糸で修復するだけで無かったことにできるんだ。中には綿の他にも、骨として硬い素材のボーンが入ってるんだけどな、まあそれも、技術があれば直せる。

ラブドール

破れたところを修復しました。
エリー:ほら、できたぞ。
リズ:わあ、あっという間に治りました!服も元通りにしてくれて、すごい、プロみたいです!
エリー:ふ、ありがとな。裁縫は得意なんだよ。
リズ:こちらこそ、直してくれてありがとうございます、エリーさん!
エリー:ああ。じゃあ捜索に戻ろう。

つづく・・・