リアルドールと紅の破壊者ー第九回

2人はまた別の部屋の前に来た。
やっぱり開きませんね。エリーさんに頼んでみましょう。

リズ:エリーさん、お願いします!
エリー:了解!
エリーはドアを開けました。
リズ:ありがとうございます!
エリー:いいえ。
2人は部屋に入った。
リズ:見てくださいエリーさん!これ、私の服ですよ!何故だがここは比較的当時の姿を保っていますね。服も、傷んではいますがあって良かったです!
エリー:へえ、これらのコスチュームは全てリズの?どれも可愛らしいな。色々な服を着られて楽しそうだ。
リズ:はい!旦那様が用意してくれているのが、ほとんどなんですが、どれも可愛らしいですよね。そうそう、この服は自分で選んだんですよ!傷んでいますし流石にもう着れはしませんが、お気に入りなので残っていて嬉しいです!
エリー:そうか、良かったな。それにしても良いな、どれもお前に似合っている。お前は可愛いな。どこからどう見ても可憐で、まるで、愛されるために作られたリアルドールのようで、少し、うらやましい・・
リズ:え?
エリー:ん?・・あっ、悪い!口が滑った!!違うんだ、今のは失言だから気にしないで、別に、他意はないんだ。俺、可愛いものが好きなんだよ。俺も、そういう服にあこがれるし可愛く着飾ったりもしたいんだが、男の体である俺には、そんな可愛い物なんて似合わない。許されないんだ。別に女になりたい訳じゃないんだけどな。ただ、好きなものを好きなように扱いたいだけなのに、この俺には、男の体には、そんなものは似合わない。悪い、暗い話をしてしまった。戯言だ、忘れてくれ。

ラブドール

2人はまた別の部屋の前に来た。
やっぱり開きませんね。エリーさんに頼んでみましょう。

リズ:エリーさん、お願いします!
エリー:任せろ!
エリーはドアを開けました。
リズ:ありがとうございます!
エリー:いいえ。

2人は部屋に入った。
エリー:・・!
リズ:エリーさん!どうしましたか?
エリー:かがみ・・
リズ:え?
エリー:悪い、俺、外で待ってても良いか?少し、気分が悪くて
リズ:え、あ、はい! わかりました。
エリーは外に行った。
リズ:どうしたんでしょう?とりあえず、この部屋を調べてしまいましょう。エリーさん、鏡を見て様子がおかしくなりましたよね。やっぱり苦手なんでしょうか?ここ、私がよく仕事をしていた場所ですね。洗濯とかそのほかの雑務もここで座ってしていたんでしたっけ。こっちは完全に物置になってますね。よし、大体調べ終えたことですし、エリーさんのところに行きましょうか。心配ですしね。

ラブドール

外ではまた幽霊が出ていて
アルバート:ねえ、ねえ、君
エリー:またお前か。誰なんだお前はどうして俺に話しかけてくる?
アルバート:僕は、アルバート。リズのことを助けてあげて
エリー:リズの主人か、わかってるよ。俺だってどうにかしたい。でも悪い、今は、それどころじゃない。
リズが外に出た瞬間、アルバートの幽霊が消えていく。

ラブドール

リズ:エリーさん?調べ終わりましたよ。大丈夫ですか?
エリー:あ、ああ、リズ、そうか。悪いな、一人で調べさせてしまって
リズ:いえ、その、エリーさんは鏡が苦手なんですか?
エリー:まあ、少しな。嫌悪感があるんだ。さっき可愛い服を見たからそれが余計に割り切っているつもりだったが、やっぱり無理だ。正面から自分の顔を見たくはない。マスクをしてる分、いくらかマシではあるが。それでも、ちょっと・・
リズ:そうなんですか。そういえば、エリーさんは顔に、顔に傷があるから、なんでしょうか?そんなに鏡を気にするのは・・傷があるから、顔を隠さなくてはならない。なんだか勿体ないですね。そんなにきれいな顔をしていますのに・・
エリー:いやお前、マスク越しじゃわからないだろう。
リズ:あ、ああそうなんですけどね!マスクをしていても目元で、本当に綺麗だってわかりますよ。
エリー:目、ね。この片目な、義眼なんだよ。
リズ:えっ
エリー:髪で隠れてる方な。前のドール破壊の時にやられた。おそらく、あまり覚えてはいないが、自分でこの義眼を選んだかどうかも思い出せないんだが、この目も相まって、俺は自分の顔が嫌いになった。まあ、これも鏡に嫌悪感を抱く原因の一つではあるんだが、別に大してそれは重要じゃない。さっき、俺は可愛いものが好きで、可愛い格好をしたいって言っただろう。でも、俺はどうやったって男なんだ。可愛い服を着るのは許されない。俺が許さない。だから、自分の顔は苦手なんだ。端麗に造形された。この成人の男の顔が、朝起きて鏡を見る時も本当に嫌いになるよ。ずっと暗い海の底に、引きこもりたくなる。本当におかしい話だよな。男の俺が可愛い物を好んで、自分の容姿に嫌悪感を抱いてるなんて本当に、笑えてくる。悪い、勝手にこんな話をしてこんなの、気持ち悪いよな。俺のこと、軽蔑、しただろ。

ラブドール



リズ:あなたがそんなことを抱えているなんて、考えているなんて、思いもしませんでした。ずっと、あなたのことは冷静で男らしくて頼りになる。そういう人間だと思っていました。でも、そうですよね。皆、内側に何を持っているかはわかりませんから。見た目通りの完璧な人間なんて、居るわけがないんですから。私、エリーさんとしばらく一緒に居て、あなたへの評価が変わったんですよ。あなたは、本当に優しい人なんだって私、この人を助けたいです。でも、どうしよう、なんて声をかければ、良いのかわかりません。旦那様なら、なんて言いますか?
リズまた旦那様のこと思い出した。

つづく・・