リアルドールと紅の破壊者ー第11回

 

2人は部屋を一回に回しました。
エリー:なあ、リズ・・これで全部の部屋は回ったんじゃないか?俺には、お前の言う主人の形見なんて、無かったように見えたんだが。
リズ:そ、捜索が甘かったのかもしれません!もう少しだけ、調べさせてください。例えば旦那様の部屋とか、もう少しだけ!
エリー:そうだな、もう少し見て回ろうか
エリーは一階部屋の植木鉢の前に着きました。
エリー:?なんだ、机の中に何か。

ラブドール

引き出しの奥には手紙が入っていた。
エリー:!リズはまだこれを見つけてないんだよな・・!?手紙、これはもしてかして、ああ、やっぱりこれは、主人からリズへ向けた手紙だ。これは、きっと彼女は、主人の形見として認識してしまう。これを彼女に渡したら終わってしまう。俺らの関係が、俺たちの時間が・・嫌だなあ、それは、ああ、本当に、契約というものは厄介だ。こんなに清らかで優しい彼女を破壊しなければならないなんて記憶のないドールは破壊するしかない。だが、記憶があったのなら?そうしたら俺は、彼女を破壊しなくて済むのに。彼女とまだ一緒に居られるのに。この手紙は隠しておこう。増援が来る。期限ギリギリまで。そういえば、定時連絡の規定時間、とっくに過ぎてるな。連絡機器の電源を切ってるからあちらからは俺に連絡はできない。そろそろ、不審に思う頃か。増援が来たら、彼女は、彼女は少しばかり記憶を取り戻してきているみたいだが、それは保護の対象外の記憶だ。記憶を全て取り戻すのは極稀で、そんなリアルドールは数えるほどしか居ないことはわかっている。俺自身も、深く理解している。それでも、どうか、どうか。
彼女の記憶が、全て戻りますように・・

ラブドール

秘書:リノーツさん、リノーツさん、いらっしゃいますか?
リノーツ:・・・?どうしたの、何かあった?
秘書:こんばんは。会長がリノーツさんをお呼びですよ。
リノーツ:うわ、マジ?こんな夜に?絶対良い話じゃないって秘書くん、オレ行きたくない。悪いけど君が代わりに行ってきてくれない?
秘書:ダメですよ!会長は本人をお望みです。急用とのことなので。急いだ方が良いですよ!
リノーツ:わかったよ!
リノーツ:ただいま、リノーツが来ました。お呼びですか、会長。
会長:ああ、リノーツ君。すまないね、こんな夜更けに呼びだしてしまって
リノーツ:いえ、大丈夫です。
会長:それで、用件なんだけれど、今、課外任務に行っているエリー君の定時連絡がないんだ。少し前に突然連絡を寄越したきり、規定の時間になっても連絡が来なくて・・もしかしたら、何か問題があったのかもしれない。まあ、そんなに嫌そうな顔をしないでくれ。優秀な君に応援を頼みたい。良いかな?
リノーツ:分かりました。
会長:悪いね、君の予定も顧みず・・でも深刻な問題なら、エリー君が心配だ。よろしく頼むよ。
リノーツ:いえ、問題ありません、このリノーツにお任せください。
会長:ありがとう。どうかこのルブルムソール協会のために、尽力してほしい。
リノーツ:もちろんです。
リノーツは事務室から出た。

ラブドール

リノーツ:ああ、もう、あいつ、何俺に面倒事をふっかけて来てんだよ。最ッ悪、あのくそエリーめ・・あいつの尻拭いもフォローもぜーんぶ直属の上司であるオレの役目だよ!!ふざけんなよなあいつ、なんでオレの仕事を増やすかなあ!?ああもう、明日からオレは連休だったはずなのに、のんびり過ごす予定だったのに。ほんと最悪、今度エリーに埋め合わせしてもらわなきゃ収まらない!何か問題があったとしてもオレの休日を潰すなんて最低な罪!まあオレの仕事になったからにはきちんと役目を果たしてみせるけどさあ。はあ、出る準備をしなきゃ。オレの部屋に戻ろう。

掲示板の前に来た。
デストロイヤーに向けての連絡事項が記されている。破壊したドールの痕跡は残されないようにすること。破壊した宝石は全て持ち帰ること。

リノーツ:出発する準備をしよう・・・まずは着せ替えちゃおうかな。そしたら身だしなみをチェックして・・ああそれと武器も持って行かないと。さっさと着替えました。よし、身だしなみはオッケー。襟元が曲がってちゃ格好が付かないからねえ。必要なものはこれと、これと・・・ああそれと、救急セットも必要かな。というか、ドール破壊の仕事で問題なんて、ドールの反撃しか思いつかないんだけど・・あいつは自分で治療できる奴なのに・・そんなに大きく怪我を負わされたの?俺らデストロイヤーの仕事は発信機に反応があった近辺の調査・情報集め、ドール破壊だ。ドール破壊はドールの反撃によって負傷するリスクがある危険な仕事だから、俺ら成人の男に任されてる訳だけど。やっぱりあいつ、自分で治せない。大怪我でもしたのかなあ。あれ、この救急セット・・包帯が足りてないな。オレのせいか。はあ、仕方ない・・取りに行こう。確か医務室にあったよね。
医務室に入った。

ラブドール

リノーツ:やっほーヤブ医者。ここの包帯持ってっても良い?
医者:どうぞ、ご自由に。
リノーツ:どうもね。
医者:あ、それとリノーツさん。少しこっちに来てくれませんか?
リノーツ:・・?分かった。それで、何?
医者:右腕の傷、どうですか?治ってきましたか?リノーツさんにしては深手の傷ですから、私心配で。
リノーツ:あー、まあ、ぼちぼちね。
リノーツさんはしっかりしてるように見えて生傷が絶えないですからね。では腕の包帯を取り換えましょうか、そこに座って
リノーツ:いやいい。少し前に取り換えたばっかりだし。
医者:そうですか。他の傷はどうですか?
リノーツ:まあまあ治ってきてるよ。跡にはなってるけど、隠せば問題ないし。
医者:そうですか。もう本当に、気を付けてくださいね。自身を投げ打ってまで、仕事をする必要は無いんじゃないですか?いつか本当に、身を滅ぼしますよ。
リノーツ:ご忠告どうも。この傷はオレがしっかり仕事を完遂した証だよ。仕方ないって、ドール破壊に怪我は付き物なんだからさ。
医者:まあそうなんですけどねえ・・その怪我、私以外の人に言ったんですか?
リノーツ:言ってない。あんまり心配かけるのも良くないでしょ。
医者:そうですか・・

つづく・・・