リアルドールと紅の破壊者ー第15回

ルース:似合ってる似合ってる!どう?それ気に入った?
リノーツ:まあ、綺麗だし好みではあるかな。ありがとね
ルース:えへへー!それ仕事にも付けていってね!
リノーツ:いや、それは止めとくよ。壊したら悪いし。
ルース:いーの!それ、お守りの意味も込められてるから!リノを守ってくれるよ!
リノーツ:ふーん、お前にしちゃ良いセンスだね。意外と良い寄り道だったかもね。じゃあオレは行くから。
ルース:あ、待って!リノ明日はお休みなんだよね?何か予定あるの?
リノーツ:まあ、図書室で勉強したり部屋で本を読んだりして、ゆっくり過ごす予定だよ。
ルース:そうなの?じゃあおれと遊びに行かない?
リノーツ:ムーリ。ゆっくり過ごすって予定は暇ってことじゃないからね?そもそもそれまで帰って来れるかわかんないし。お前、明日は午後から仕事が入ってるでしょ?絶対放り出すなよ。
ルース:わかってる!明日はお姉さんと約束もしてないし!じゃあリノ、明日一緒に図書室で勉強してもいい?
リノーツ:良いけど、珍しい、なんで急に?
ルース:なんとなく?
リノーツ:ふーん。
ルース:じゃあ明日ね!おれは午後から居ないから明日の午前に一緒に図書室に行こ!
リノーツ:待って、だからオレそれまでに帰って来れるかわかんないんだって、案外時間食うかもしれないしさ。
ルース:えー!?頑張って帰ってきてよ!
リノーツ:わがままかよ!まあ、分かった。努力はするよ。じゃあオレはもういくから。お前はもう寝なよ。
ルース:やった、おれ待ってるからね!行ってらっしゃーい!
リノーツさんは部屋に出た。

ラブドール

ルース:なんとなく、約束とかしないとリノともう会えなくなっちゃうような気がしたの。絶対帰ってきてね。

ルース部屋に出たリノーツさん
リノーツ:まさかあいつからプレゼントをもらえるなんて日頃の感謝ね、ちょっとだけ、嬉しかったかも。オレに仕事を押し付けてるって自覚してるなら、その感謝をもっと別の方に使ってほしいけどね。やば、かなり時間を食っちゃったな、急ごう。
リノーツはホールのドアーの前に来た。

ラブドール

リノーツ:ええと、場所はうわ、郊外の山奥?遠くない?あいつどこまで遠出してんの。つーかこの通信機器ホント便利だね。ま、できるのは連絡と地図を見ることくらいだけど。今オレは当たり前のように使ってるけど、高価過ぎてまだ民衆には普及してないんだっけね。少し前は無かったのに、宝石を使いだしてから急に出てきた感じ。地図機能で場所の名前も分かるんだっけ?ここはマーガレット邸?聞いたことないな。数時間もあれば着けるかな。さっさと行って終わらそう。というか、戦争が終わって100年も経ったのにまだこんなにドールが残ってるなんて、昔は本当にドールに頼り切ってたんだなあ?オレも小さいころは、ドールなんておとぎ話だと思ってたけど。眠っていたドールが次々に目覚めて、世に溢れていく。それが世界の妨害者とならないように、文化保全を理由にして破壊して回るなんて、常人なら気が狂うよ。やってることは人殺しと変わらないんだからさ。一応記憶持ちは保護する契約だけど、そんなのは滅多に居ない。オレらはただ破壊するだけだ。オレはまだ耐性があるし、ルースもまあまあ平気そうだけど、エリーは・・夢を見るんだ、リノーツ。ドールたちがオレの周りに寄ってきて「私たちは生きているのにどうして」って、「悪魔だ」って口々に罵られる夢。なあ、俺はどうしたら良いと思う?どうしたら、良かったんだろう。

リノーツ:お前みたいな優しいやつは、これから破壊するリアルドールの言葉なんか聞いちゃいけないんだよ。その言葉が、耳から離れなくなるから。
シーンはリズとエリーが居る場所に変えました。

ラブドール

リズ:ない、ですね。
エリー:ああ、めぼしいところは全て探してみたが、なかなか見つからないな。
リズ:すみません、エリーさん、私のわがままに付き合わせてしまって。
エリー:いや、いいさ。こうなったらとことん付き合うよ。それにしても、どうしてこうも見つからないんだ?あったのは俺が見つけた手紙だけ。本当に、彼の持ち物が丸ごとどこかに消えてしまったような。
リズ:このまま形見が見つからなかったら、私は一人で死んでしまうのでしょうか
エリー:そんなに落ち込むなよ。大丈夫、きっとどこかにあるはずだ。
リズ:ふふ、慰めてくれるんですか?エリーさん、意外と優しいですよね。会ったばかりのエリーさんは淡々としていて、厳しい人なのかなと思ったんですが、話しやすくて、色々なことを話せて、私嬉しいです。
エリー:ああ、まあ、アレは仕事モードというか、な。オレもリズと話せて嬉しいよ。
リズ:ふふ、良かったです。
エリー:さて、じゃあ、休憩もそろそろ終わりにするか?
リズ:あ、待ってください。もう少しだけ、良いですか?
エリー:ああ、そうだな。それならもう少しだけここに居ようか。