リアルドールと紅の破壊者ー第16回

リズ:エリーさんは私のことが好きですか?
エリー:なんだ?好きだとさっき言っただろう
リズ:あ、いや、人間として!です!私は人間じゃないですけど・・性格というか、人間性を見て私ってどうなのかな~とふと思ったので。
エリー:ああ、まあ、好きだな。ちょっと強引なところもあるが・・お前は丁寧だし意志もしっかり持ってるし、普通に考えてとても人気タイプだと思うぞ。
リズ:そうなんですか・・
エリー:どうしたんだ、急に

ラブドール

リズ:いや・・期限も迫ってきているようですし、人として嫌われたままで破壊されるのは嫌だな、と思いまして
エリー:ああ、別にそんな心配はしなくていいよ。ちなみにオレのことはどうなんだ?
リズ:え、エリーさんのことですか?そうですね。穏やかですし優しいですし、好きですよ人間として!
エリー:そうか、それは嬉しいな。
リズ:エリーさんはやっぱり優しいですね。私のお願いも聞いてくれて、一緒に形見も探してくれて、エリーさんと居ると、楽しい・・本当に、最期に会えたのがあなたで良かったです。期限が来たら私は破壊される。そんなことはわかっていますが、もう少しだけ、あなたと一緒にいることを許してもらっても良いでしょうか。
エリー:楽しそうだな、リズ。
リズ:ふふ、楽しいですよ!

ラブドール

エリー:それにしても、俺たちは全部の部屋を調べ終えたよな。どうして見つからないんだろう・・調べ切れていないところがあったのかもしれないな。リズ、もう一度全部の部屋を探してみるか?それとも、他にも部屋があるとか・・
リズ:あ、すみません、今まで必要ないと思って言っていなかったんですが・・1つだけ、調べてないところがあります。
エリー:どこだ。
リズ:地下です。
2人は地下に入りました。

リズ:暗いですから、お気を付けて。
エリー:平気だ。リズも転ぶなよ。
リズ:ここ、私が初めに目覚めた場所なんですけど、暗すぎてあまり調べられなかったんですよね。
エリー:まあ、こんな暗闇じゃなな・・お前はこの真っ暗の中を明かり無しで歩いたんだろ?勇気あるな。
リズ:えへへ・・まあ、他に手がありませんでしたし・・
エリー:じゃあ、行くか

ラブドール

エリー:・・!?なんだ、この血痕。
リズ:どうしました?
エリー:いや、え?どうしたもこうしたも。お前は、分からないのか?
エリー:・・・これが、リズの居眠りした棺か。中のこの赤い花は・・菊の造花か?お前の髪飾りと同じ花だな。
リズ:あ、そういえばそうですね!菊だったんですね、これあまり気にしてませんでした。
エリー:それ、リズによく似あってるよ。
リズ:ふふ、ありがとうございます!これ、旦那さまが私に贈ってくれた髪飾りなんです。
エリー:へえ・・良いな。それにしても、ここには特に物があるということはなさそうだな。やっぱり他の部屋をもう一度調べた方が良いのか。リズの記憶のことも、どうにかしなければならないし。ただひとつ・・気になるのはやはり、この血痕の末尾に、何かあるはず・・
リズ:うーん、何もありませんね・・上に戻りましょうか?
エリー:リズ、待て、ここに何か・・あっ
リズ:えっ!?
エリー:なんだこれ、梯子が・・地下への通路か?
リズ:え、え?こんなところ、あったんですか?全然気が付きませんでした。
エリー:お前、この血痕を見ても何も思わないのか?普通に考えば、驚いたりするもんだが。
リズ:え?これ、血だったんですか!?ただのシミか何かかな、と思っていました・・それにしても、流石にこの先には旦那様の形見なんてないと思いますが、私、少し怖いです。
エリー:でも上には何も無いからな。行くしかない。
リズ:そうですよね。い、行きましょうエリーさん!
2人の真っ暗の先に踏み出しました。

ラブドール



ねえあなたはさ、どうしてそんなに、非道でいられるの?
私たちも、生きているのに!!
冷血!悪漢!薄情者!
許されないわ、よりにもよってあなたが壊すなんて
この・・罪人が!!

エリー:うわ・・この先も、血痕が酷いな。
リズ:まがまがしい雰囲気・・空気も冷たいですね。エリーさん。こ、怖いので手を握っていても良いですか?
エリー:ああ、もちろん。なんだろう。本当に嫌な予感がする。この先にはきっと何かがある。確実に、俺たちの終わりが、近づいている。気分が悪い。ここに居ると、嫌なことを思い出してしまう。いや、大丈夫だ。彼女は・・そんな子じゃないから。そう、そんな彼女を、オレはもうすぐ失ってしまうのか。嫌だ。
リズ:エリーさん?大丈夫ですか?先程から立ちとまっていますが、
エリー:ああ、悪い。平気だ。
リズ:ここは空気が悪いですからね・・体調を崩されてしまうのも当然でしょう。一度上に戻りますか?
エリー:いや、いい。大丈夫だ、行こう。