リアルドールと紅の破壊者ー第13回

2人は会長室に出た。
リノーツ:あ~北棟の自室に戻ってる可能性も無くはないけど・・
ルース:まだ全て部屋回ってないし、もう少しこの辺りを探そ~!
リノーツ:うん、時間がかかるけど・・・仕方ないか。
エリーの部屋前に来た。
ルース:リノ、リノリノ!エリーの部屋の扉開いてるよ!
リノーツ:え、嘘!?閉め忘れたのかなあ。珍しい、エリーは普段部屋に人を入れないし、鍵の管理もしっかりしてるはずなのに・・
ルース:リノはエリーの部屋に入ったことあるの?
リノーツ:まあ、業務連絡で数回だけ、でも中を詳しく見たことはないかな・・
ルース:おれ、入ったことなーい!少し覗いてみよっか?
リノーツ:うん、少しだけね
2人はエリーの部屋に入った。

ラブドール

リノーツ:あー、やっぱりグチャグチャだなあ。
ルース:えー、すごいすごい!秘密基地みたい!作りかけの服がある。もしかしてこれ、エリーが作ってるの!?
リノーツ:そうらしいね。お前の仕事着とか他のメンバーの服も大体こいつが作ってる。服飾が趣味なんだって。
ルース:へ~!知らなかった!わー!このクマちゃん可愛いー!エリーこんなのも持ってたんだ!良いなーおれも欲しいなー
リノーツ:そんなの何に使うの?サンドバッグ?
ルース:添い寝するんだよ!?発想が過激だよ、リノは~
リノーツ:アイツがここを使うはずはないし、中は物置きになってそう。
ルース:あっこれミシンだー!すごーい、高そう!
リノーツ:おい、あんまり触るなよ!壊したらどうすんの!
ルース:大丈夫大丈夫!見て見てリノ、宝石が嵌まってるよ!キラキラしてて綺麗だね、あ、取り外してできそう・・

ラブドール

リノーツ:ストップ、その宝石は飾じゃないから取るなよ。大切な動力源だからね。
ルース:・・?動力源?あーえっと、宝石がなんちゃらで大事にされてるんだっけ?おれ、あんまり知らなくて・・
リノーツ:まあ、学校に通ってなかったのなら、知らないも同然か。今はこの、宝石が主な物の動力なんだよね。宝石に含まれてるエネルギーが物を動かすんだよ。水力や火力で作られたエネルギーとは別格で、宝石の出現は人間の暮らしに大きく影響を与えたって聞くよ。不思議な力なんだよねえ。重力に逆らって物を動かすこともできるし使い方によっては色々なことができる。ほら、飛行船とかもそうでしょ?アレも浮いて人を運んでるし移動手段としてメジャーだよね。
ルース:あー確かに!あ、リアルドールも宝石の力で動いてたよね!そんなに昔から宝石は使われてたの?
リノーツ:いや、ドールの時代に宝石は使われてないよ。
ルース:・・・?どういうこと?

ラブドール

リノーツ:一般的な動力として使われ始めたのはごく最近10年くらい前から。ドールには必ず宝石が付いていて、それによってドールが動くことは知られていたんだけど。その宝石が一般的な動力として利用価値があるって当時は誰も気が付かなかったみたいなんだよねえ。一般の動力として使うことには製造の際に何かひと手間を加えないといけないらしくて・・?知らないけど。ほら、ドールの製造工程に関しては長年企業秘密だったらしいから・・一般動力としての可用性を一般市民が分かるわけがないんだよね。なんでそんな大切なことを企業側がずっと黙っていたのかは知らないけどさあ。まあ、だから戦争が終わって宝石自身がエネルギーを作れるってわかった今じゃ、今まで補助の役割として使ってきたドールの代替品として、宝石を核にしたものが使われてるんだよ。
ルース:へええ!ごめん、半分くらいわかんなかった・・
リノーツ:ただ一つの役割しか無いと思われていた物体が、実はあまりある役割を持つすごいものでした。みたいな認識で良いよ。
ルース:それにしてもリノすっごい知識あるね?リノもおれと同じで学校に行けてなかったって聞いたこともあるけど・・
リノーツ:そうだよ。学校に行ってなかったんだから少しくらい勉強しないとね。オレも新人の時に最低限の物事は叩き込まれたけど・・流石にそれだけじゃ足りないから。最近はちょくちょく参考書や他の本を読んだりして知識を増やしてるんだよ。一応義務教育の範囲内だし、知識の差で去年入った新人のガキにマウント取られたくないからさあ・・
ルース:へー!リノえらーい!
リノーツ:本当はお前も一緒に勉強した方が良いんだけど。今度一緒に図書室で勉強する?
ルース:やだ!気が向いたらね!
リノーツ:クソガキが・・
ルース:あ、見て!何かある!
リノーツ:んー、高そうな箱だなあ・・いかにも怪しい感じ
ルース:鍵がかかってる・・何か入力しなきゃいけないのかな?
欲深く、罪深いその者の名を決して忘れてはならない。
リノーツ:・・?
ルース:え、何これなぞなぞ!?ねえねえリノ、この箱開けてみようよー!
リノーツ:いや流石にそれは・・人様の物を勝手に触るのはどうなの
ルース:でも気になるでしょ?
リノーツ:超気になる。
ルース:だよね!
箱のカギには5文字をアルファベットを入力する必要があります。
机の上にのメモ―からEllieを推測して箱を開けました。
ルース:あ、開いた!
リノーツ:E,l,l,i,e゛エリー”、ね。アイツ、自分の名前を暗号にしてるんだ?へえ・・

ラブドール

ルース:中に入ってるのは~ペンダント?綺麗だね~
リノーツ:これ、オレがエリーに持っていくよ。
ルース:え、勝手に持ち出して大丈夫なの?
リノーツ:一応、必要になるかもしれないし。怒られたらその時はその時でいいよ。
エリーのペンダントを入手しました。

つづく・・・