リアルドールと紅の破壊者ー第20回

リズ:大切なアルバートが居ない今、私が存在する意味はありませんから。先程は自壊をしようと思ったんですけど、そういえば、リアルドールは自身を死に追いやることはできないんですよね。エリーさんがしてくれないので、リノーツさん、どうか、お願いします。
リノーツ:え、は?反撃してるわけじゃ、ないの?いかにもこれからエリーに危害を加えますって様子に見えたけど・・?
リズ:私ただ、私自身を破壊してもらいたいだけですよ。
リノーツ:ああ、そうなんだ。そういうことなら別に・・お前の悪い癖だね、エリー。壊せる条件が揃っているにも関わらず実行しない・・そのドールに情が移りでもした?まあ、破壊を望むドールがナイフを突き立てる意図はわかんないんだけどさあ・・やるならお前がやってあげなよ。その子が破壊を望んでいるのなら。

ラブドール

エリー:ダメだ。ロノーツ。彼女は、リズは記憶持ちだから。
リノーツ:え?ああ、なるほど。そういうこと、記憶持ちだkら、破壊を望まれていても壊せないんだ?それでこんな込み入った状況になってるってわけね。記憶持ちの出現、異例だなあ、そりゃ連絡もできないほどになるってことか。わかった。つまり破壊じゃなく、保護が仕事になるんだね。オッケー、把握した。えーと、リズちゃん?今の聞いてたよね。多分エリーから説明があったと思うんだけど、通常ドールは破壊するもので保護することなんて滅多にないんだよね。でも、それはほとんどのドールには記憶がないから。過去の記憶があったのなら、壊す必要は無いでしょ?君は貴重な、記憶を持つドールだ。申し訳ないけど、記憶持ちのドールは保護する契約なんだよね。だkら君の意見は通らない。主人が亡くなって悲しいでるところ悪いんだけど、これから君は文化の保全のために俺らの保護下に置かれて・・

ラブドール

リズ:うるさいです。
リノーツ:え?
リズ:うるさいんですよ!!
リノーツ:・・っ!?
エリー:リノーツ!!手が・・
リズ:あ、あ・・ごめんなさい、つい・・!!申し訳・・申し訳ありません!!違うんです。少し脅しそうとしただけで、本当に傷を付けるつもりは・・
リノーツ:ああ、うん・・別に、大丈夫・・
エリー:リズ、その包丁はどこから出した?
リズ:え・・私の服のポケットに入っていて・・とっさに・・
エリー:さっき拾った・・なあ、もう一つ、聞いてもいいか。その包丁に付いてる血は誰のものだ?
リズ:え?あ、本当です。元々付いてる赤黒いこれは・・
リズは昔の記憶を思い出した。

ラブドール

リズ:ああそうだ、私・・
エリー:リズ?
リズ:アルバート、は・・
リズは前に発見した棺に向かいました。棺を開けて中にはアルバートの骸骨です。そして、リズの顔で悪の笑いが見えます。
エリー:!?
リノーツ:なにこれ、白骨化死体・・!?どうしてこんな場所に・・
エリー:この服は・・リズが持つドール写真に映っていた男性の・・どうして、彼がここに?
いやどうして、リズは・・主人が無残な姿で見つかったこの状況で・・笑っているんだ?リズ・・
リズ:ふふ、ふふふ・・ああ、すみません、エリーさん。私、嬉しいんです。別に私も一緒に死ななくても、アルバートはずっとそばに居た。死んでくれたんです。私のために私の宝箱に入ってくれている・・これがまごうことなき証拠ですよね。アルバートは戦争に行って亡くなられたのではありません。ずっと最後まで、私と一緒に居てくださって・・ああ、本当に素敵ですね?
エリー:リズ、お前・・もしかして・・
リズ:そうです。私が、アルバートを殺しました。

ラブドール

「マーガレットさん!?あなたがドールを隠し持っていることはわかっているんですよ!!窓から見えたんだ!ほら、居るじゃねえか!!っ、やめてください!!彼女にはリズには、手を出さないでください!!うるせえ、邪魔をするな!!いちいち手間取らせやがって・・良いよ、お前から殺してやる!!嫌だ、アルバート・・!!」
アルバート:ああ、ああ、なんてことだ。
私はある日、私たちの家に訪問してきたデストロイヤーを殺してしまいました。でも、それは仕方がなかったんです。私はドジを犯して、デストロイヤーに見つかってしまった時、彼らはドールを匿ったとしてアルバートを殺そうとしてきたんですから。私は私の友人を命がけで守りました。彼らを殺してしまったのも、正当防衛でした。私はアルバートを守ったことで、誇りを持って彼を見ました。しかし彼は・・青ざめた顔で私を見ていました。
リズ:どうしてそんなに慌てているんですか?私はあなたのためにしたのに。敵はいなくなりましたよ、アルバート
彼は以前、私を棺に入れ閉じ込めることを提案してきました。あの時は、その準備をしている最中だったのですが・・私がデストロイヤーを殺したあの日から、アルバートは少し変わってしまいました。私の目を見なくなりました。私を抱き締めなくなりました。私と一緒に、話をしてくれなくなりました。私のことが、疎ましくなったのでしょうか?もう愛してはいないのでしょうか?まだ私はあなたと一緒に居たいのに。あなたは今、何を見ているんでしょうか?私じゃない誰かを、その目に映しているんでしょうか?