リアルドールと紅の破壊者ー第18回

アルバート:うちにドールはいません!お引き取り下さい。
政府がデストロイヤーを派遣しはじめ、彼らは各家庭に住むリアルドールを次々に破壊していきました。どうしてドールを廃絶させるという思考に至ったのか・・そんなことを考えても抗議しても、政府はどんどん事を進めていったのでした。もちろん私たちの家にも彼らは来ました。そのたびにアルバートが否定し私を守ってくれました。私は物陰に隠れて彼らが帰るのをじっと待つしかありませんでした。この戦争は終わる気配がない・・連日のデストロイヤーの訪問に疲れ切ってしまったのでしょう、アルバートは私を棺に入れて地下へ閉じ込めることを提案してきました。

ラブドール



アルバート:すまない、すまないリズ・・君を救うにはこの方法しかないんだ。
リズ:わかっております、アルバート
アルバート:今は少し世の中が混乱してるから・・少し眠っていてくれ。この戦争が終わったら迎えに行くから。
リズ:はい。
アルバート:準備を進めてくるよ。どうか、どうか君が無事でありますように。愛しているよ・・僕の友人、リズ。

ラブドール



また現在のシーンに変えました。
リズ:それから、もう100年も経ってしまったのですね。戦争は表向きは終結したらしいですが、その後もまだデストロイヤーが残ったドールを壊して回っていたので、アルバートは私をお迎えに来れなかったのかもしれません。アルバートは私の主人としてだけでなく、友人としても、大切な存在だったんですよ。ああ、ああ、アルバート・・どうして私を残して逝かれてしまったのですか。
エリー:友人?その関係が?それは、その言葉で収まることのない。関係の勘違いをしているのだろうか、それはまるで恋人のようじゃないか?いや、それよりも。リズ、さっきの言葉・・
リズ:だからエリーさん、お願いです。早く私を、壊してください。
エリー:どうして、そんなこと。記憶が戻ったのなら、そんな必要はないじゃないか!
リズ:エリーさん?何をぼーっとしているんですか?早く、早く、壊してください!!それがあなたの仕事じゃないんですか!?
エリーは後ろに下がっていた。
リズ:早く、早く!早く、早く、早く!!早く、早く、早く、早く!!!なぜ黙っているんですか、どうして壊してくれないんですか。そのナイフは飾ですか?
エリー:う、リズ・・記憶が戻ったんだろう!?それなら、それならもう破壊する必要は・・
リズ:いいえ、ありますよ。あなたが、それをできないと言うのなら、
リズはエリーに近づいた。

エリー:リズ!?何を
リズ:あなたを殺して、私も自壊するしかないのです!!

ラブドール



一方、リノーツさんはその建物の外に着きました。
リノーツ:ああ、ここね。ほんっと遠かったなあ。飛行船を使ってもまあまあ時間がかかったし。何?俺への嫌がらせなの?発信源は2つ。エリーと、今回のドールか。点と点が重なってる・・2人は近距離にいるみたいだ。エリー・・無事でいれば良いけど。とりあえず、行こう。
リノーツは正門に来ました。
リノーツ:うわ、何これ!?扉が粉々になってる。乱暴だなー、あいつ、いくら力があるからって。
リノーツは中に入った。
リノーツ:おかしい、何も音が聞こえない。ここに居るのなら、どこかで物音がしていてもおかしくないのに、発信機はここを指してるから、場所はここで合ってると思うけど。部屋の奥に行っちゃったとか?それとも、どこかで倒れているとか。エリー!!いるのなら返事しろ!!クソ、探すしかないか。アイツならどうせ大丈夫だ、なんて軽視してたこと自体間違ってたのかもしれない。反撃を食らっているなら、ドールが近くに居る状況は危ない。早いところ見つけてやらないとこの俺が、反応からすれば、ここら辺だと思うだけど、この機械、壊れてんのかな?もしかして、俺が何度か落とした時にやっちゃったか。これじゃあ、すぐに駆け付けられない・・エリーを早く見つけってあげたいけど、現状アイツの居場所がわからない。もしかしたらどこかに、潜んでるのかもしれないし・・むやみやたらに動いて、見つけるべきものを見落とすよりは・・仕方ない、時間がかかるけど、部屋を回ってエリーを探そう。迅速に。

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この時、リノーツは破壊された廊下に来まして黒くて深い穴を見て。
リノーツ:何これ、ボロボロじゃん、流石にここは渡さないね。
また、他の所に行きました。
リノーツ:!ここだけ、空気が違うような・・ここは・・誰の部屋?ああ・・微かだけど臭うな。この黒くて鼻につく淀んだ異臭は・・血の臭いか。独特な臭いは掃除しても取り切れないって言うからねえ・・すこしだけ、この部屋を調べよう。

棚の前に来ました。中には小物やアクセサリーが入っている。

リノーツ:女向けの物、かな。

リノーツ:手帳が落ちてる。読めない、読めない、ああこのページも読めない・・ページが全部黒く塗りつぶされてる?というか、これ、血だね。血が付いた手でペタペタ触ったのが黒く変色したのかも。戦争の名残り?いやわかんないな。あ、最後のページは一部だけ文字が読める・・黒く染みてる部分もあるけど結構筆圧も強いし、光に透かせば読めそうかな。えっと・・え・・・何か見えます。