ドールの体重

今回のテーマは「ドールの体重」です。


ラブドールというものは、
いわゆるお人形さんと違って、
《実際の人間を愛する感覚》を再現する為に

*人間と同等の大きさ
*人間と同等の感触
*人間と同等の見た目
*人間と同等の可動範囲

となるように作られています。

ただし、上記の項目の中に
「人間と同等の体重」は含まれていません。

それは
人形は自ら歩いて移動してはくれないので、
全体重をオーナーが負担しなければならないからです。

という事は、
出来るだけ軽いほうが扱い易いので
「人間と同等な体重」は再現していない訳です。


実際の女性は
普通で健康的ならば40kg~50kgくらいが標準的です。

それに対して
ラブドール30kg以下に作られています。

人間の体重としては相当軽いはずですが

それでもドールの重量が30kg台になるとすごく重いと言われます。

30kg程度の人間の女性を「お姫様抱っこ」したり「おんぶ」しても
そんなに重く感じませんよね?

それなら、なぜ30kgのラブドールは重く感じるのか?


ワタクシは中学時代、柔道部でした。
ある日柔道部に「打ち込み人形」なるものが導入されました。

言ってみれば、サンドバッグに両腕が付いてるようなものです。

それに柔道着を着せて
打ち込みの練習や投げ技の練習をする訳です。

柔道人形に付いてるタグには
《重量20kg》と表示されていて

「な~んだ!人間より超軽いじゃん。」と
誰もが思いましたが

実際は、そう簡単には持ち上がりません。


何故かというと、
生きている人間は無意識のうちに
状態に合わせて体の形状を変化させて
重心の移動をしています。

重心がリアルタイムに変化する為錯覚で重さを感じにくくなります。

ところが、柔道人形は
立った状態をキープするため、
足の部分に重さを集中させて作られていて

いくら水平に持ち上げても
足側から重心が移動しないので、20kgより重くかんじるのです。

もっと分かりやすく言うと
同じ長さの棒で、全体的な重さが10kgのものと
棒の右端だけ10kgのものでは
後者のほうが持ち上げにくく重く感じる訳です。

説明が長すぎましたが、ラブドール

持ち上げる側が重心を考えて持ち上げないと実際より重く感じてしまうのです。

ドールは持ち上げやすいポーズに勝手に変化してはくれないですからね。

脳内でシミュレーションしている30kgと
持ち上げにくさをプラスした体感30kgで
錯覚が生じて実際より重く感じてしまうのですね☝

ラブドールが、リアルを追及しながらも
体重を軽くしている理由は
科学的、物理的な理由もあるのですね❗


それでも最近のラブドール
今以上の軽量化を進めています。

消費者からの要望が多い為だと思われますが、
シリコンTPE等の外皮素材を薄くして、
減らした分を軽い発泡素材で補うという方法です。

通常と違って異素材のほうを多くする為、

素材間の収縮率の違いや、劣化のスピードの違い等によって
発泡素材とシリコンの剥離が起きて、肌がダルンダルンになってしまったり、

表皮が薄くなる事で裂けや破れが発生する可能性が高くなります。

それから関節を曲げた時に、
不自然なシワが入ってしまう。
といった見た目の影響も予想できます。

軽量化に尽力するのもわかりますが、
ある程度の重量で、耐久性を高める方向に力を入れて欲しいですね!