リアルドールと紅の破壊者ー第九回

2人はまた別の部屋の前に来た。
やっぱり開きませんね。エリーさんに頼んでみましょう。

リズ:エリーさん、お願いします!
エリー:了解!
エリーはドアを開けました。
リズ:ありがとうございます!
エリー:いいえ。
2人は部屋に入った。
リズ:見てくださいエリーさん!これ、私の服ですよ!何故だがここは比較的当時の姿を保っていますね。服も、傷んではいますがあって良かったです!
エリー:へえ、これらのコスチュームは全てリズの?どれも可愛らしいな。色々な服を着られて楽しそうだ。
リズ:はい!旦那様が用意してくれているのが、ほとんどなんですが、どれも可愛らしいですよね。そうそう、この服は自分で選んだんですよ!傷んでいますし流石にもう着れはしませんが、お気に入りなので残っていて嬉しいです!
エリー:そうか、良かったな。それにしても良いな、どれもお前に似合っている。お前は可愛いな。どこからどう見ても可憐で、まるで、愛されるために作られたリアルドールのようで、少し、うらやましい・・
リズ:え?
エリー:ん?・・あっ、悪い!口が滑った!!違うんだ、今のは失言だから気にしないで、別に、他意はないんだ。俺、可愛いものが好きなんだよ。俺も、そういう服にあこがれるし可愛く着飾ったりもしたいんだが、男の体である俺には、そんな可愛い物なんて似合わない。許されないんだ。別に女になりたい訳じゃないんだけどな。ただ、好きなものを好きなように扱いたいだけなのに、この俺には、男の体には、そんなものは似合わない。悪い、暗い話をしてしまった。戯言だ、忘れてくれ。

ラブドール

2人はまた別の部屋の前に来た。
やっぱり開きませんね。エリーさんに頼んでみましょう。

リズ:エリーさん、お願いします!
エリー:任せろ!
エリーはドアを開けました。
リズ:ありがとうございます!
エリー:いいえ。

2人は部屋に入った。
エリー:・・!
リズ:エリーさん!どうしましたか?
エリー:かがみ・・
リズ:え?
エリー:悪い、俺、外で待ってても良いか?少し、気分が悪くて
リズ:え、あ、はい! わかりました。
エリーは外に行った。
リズ:どうしたんでしょう?とりあえず、この部屋を調べてしまいましょう。エリーさん、鏡を見て様子がおかしくなりましたよね。やっぱり苦手なんでしょうか?ここ、私がよく仕事をしていた場所ですね。洗濯とかそのほかの雑務もここで座ってしていたんでしたっけ。こっちは完全に物置になってますね。よし、大体調べ終えたことですし、エリーさんのところに行きましょうか。心配ですしね。

ラブドール

外ではまた幽霊が出ていて
アルバート:ねえ、ねえ、君
エリー:またお前か。誰なんだお前はどうして俺に話しかけてくる?
アルバート:僕は、アルバート。リズのことを助けてあげて
エリー:リズの主人か、わかってるよ。俺だってどうにかしたい。でも悪い、今は、それどころじゃない。
リズが外に出た瞬間、アルバートの幽霊が消えていく。

ラブドール

リズ:エリーさん?調べ終わりましたよ。大丈夫ですか?
エリー:あ、ああ、リズ、そうか。悪いな、一人で調べさせてしまって
リズ:いえ、その、エリーさんは鏡が苦手なんですか?
エリー:まあ、少しな。嫌悪感があるんだ。さっき可愛い服を見たからそれが余計に割り切っているつもりだったが、やっぱり無理だ。正面から自分の顔を見たくはない。マスクをしてる分、いくらかマシではあるが。それでも、ちょっと・・
リズ:そうなんですか。そういえば、エリーさんは顔に、顔に傷があるから、なんでしょうか?そんなに鏡を気にするのは・・傷があるから、顔を隠さなくてはならない。なんだか勿体ないですね。そんなにきれいな顔をしていますのに・・
エリー:いやお前、マスク越しじゃわからないだろう。
リズ:あ、ああそうなんですけどね!マスクをしていても目元で、本当に綺麗だってわかりますよ。
エリー:目、ね。この片目な、義眼なんだよ。
リズ:えっ
エリー:髪で隠れてる方な。前のドール破壊の時にやられた。おそらく、あまり覚えてはいないが、自分でこの義眼を選んだかどうかも思い出せないんだが、この目も相まって、俺は自分の顔が嫌いになった。まあ、これも鏡に嫌悪感を抱く原因の一つではあるんだが、別に大してそれは重要じゃない。さっき、俺は可愛いものが好きで、可愛い格好をしたいって言っただろう。でも、俺はどうやったって男なんだ。可愛い服を着るのは許されない。俺が許さない。だから、自分の顔は苦手なんだ。端麗に造形された。この成人の男の顔が、朝起きて鏡を見る時も本当に嫌いになるよ。ずっと暗い海の底に、引きこもりたくなる。本当におかしい話だよな。男の俺が可愛い物を好んで、自分の容姿に嫌悪感を抱いてるなんて本当に、笑えてくる。悪い、勝手にこんな話をしてこんなの、気持ち悪いよな。俺のこと、軽蔑、しただろ。

ラブドール



リズ:あなたがそんなことを抱えているなんて、考えているなんて、思いもしませんでした。ずっと、あなたのことは冷静で男らしくて頼りになる。そういう人間だと思っていました。でも、そうですよね。皆、内側に何を持っているかはわかりませんから。見た目通りの完璧な人間なんて、居るわけがないんですから。私、エリーさんとしばらく一緒に居て、あなたへの評価が変わったんですよ。あなたは、本当に優しい人なんだって私、この人を助けたいです。でも、どうしよう、なんて声をかければ、良いのかわかりません。旦那様なら、なんて言いますか?
リズまた旦那様のこと思い出した。

つづく・・

リアルドールと紅の破壊者ー第八回

前回に続いて

エリー:まあまあ時間が経ったな・・リズ、疲れてないか?疲労を感じるなら休憩を挟むが
リズ:大丈夫です!私も早く旦那様の形見を見つけたいですし、もう少し頑張りますよ!
エリー:そうか、頑張ろうな。
リズ:そういえば、エリーさんはどうしてデストロイヤーになったんですか?
エリー:どうして、か
リズ:あ、いや、そのエリーさん、その仕事が好きではないみたいですから、不思議だなあ、と。すみません、踏み込み過ぎましたかね。
エリー:ふ、そんなに慌てなくても、デストロイヤーになった理由は正直覚えていない。だが、それでも俺がこの仕事を続けるのは・・そうだな、自己の存在確認のため、とかかな。
リズ:存在確認?

ラブドール

エリー:ずっと生きていると自分が何者なのか、なぜここにいるのかが分からなくなってしまうだろ。この仕事をしているのはただ、これが俺にとって一番都合が良かっただけなんだ、多分。
リズ:多分?
エリー:悪い、あまり答えになっていなくて正直その辺は俺もほったらかしてるからよくわからないんだ。慣性を保ってギリギリで生きてる感じ。仕事をしてるやつなんか大体そうなんじゃないか?
リズ:え?そんなんですかね?
エリー:お前はどうなんだ?メイドとしてこの家で働いて。満足してるか?あ、でもリズは環境が全く違うから比較はできないな。お前、かなりこの家の主人に愛されてるだろう?
リズ:ふふ、そうですね、旦那様が優しいからこの仕事も楽しくできた。というところはあると思います。すみません、私もよく覚えていないので、曖昧なんですが、でも、満足はしていましたよ
エリー:そうか。そうだよな。仕事には満足していた方が良いよ。長く話し過ぎたな。そろそろ別のところにも行くか。
リズ:はい!

ラブドール

エリー:大体の部屋は見て回ったな。そろそろ2階の開かない部屋に行こうか
リズ:はい!
2人は書斎の前に行きました!
リズ:やっぱり開きませんね。エリーさんに頼んでみましょう。エリーさん、お願いします!
エリー:ああ。
エリーはドアを開けました。
リズ:ありがとうございます!
エリー:いいえ。

2人は棚の前に来た。

奥に何かある。「ドール購入時の注意点」という冊子が挟まっている。
エリー:・・

ラブドール

 

ドールは「人間の補助」を役割としています。用途に応じてドールを教育してください。その際、ドールにはあらかじめ自身はあくまで人間の補助目的の人形だと伝えてありますので、容易に取り扱いができるようになっています。ドールには自我がある故、何か問題が発生する場合がございます。基本的には主人に従属しますが、万が一反抗的な場合はXXへ連絡してください。調教した上、送り返します。連絡先は・・・その後はペンで塗りつぶされたようで読むことができない。ページの下に、乱雑な文字で「彼女は生きている」と書かれている。
エリー:・・・。生きている、ね。ドールは人工的に作られたものだ。だが彼らには人間のように自我がある。だから利便的に、当たり前のように、彼らに「生きている」という言葉を使うが・・本当に、大した言葉じゃないのにな。
エリー:うーん、ここは啓発書ばかりだな、収穫はなさそうだ。
リズ:何を探していたんですか?
エリー:史書、文化資料になるから一応探しておこうと思って
リズ:ああ、なるほど・・
エリー:ん?

ラブドール

目の前の棚に隅には、小説が入っている。
エリー:あれ、珍しい、他の棚には啓発書ばかり入っていたのに。これ、リズのか?
リズ:あ!そうです!私の部屋にはもう入らないので、入れてもらっていたんでしたね。私も本はたまにしか読みませんが、小説は良いですよね。作り物だからこそ、フィクションだからこそ、その世界観に浸れるというか
エリー:作り物、リアルドールに自我があるのはもう当たり前として受け入れられているが。そもそもどうして自我があるんだろうな?ドールは人工的に作られたものだって言うのに。動物ではないのに、不思議だよな。なあ、お前は考えたことがあるか?自分の存在が、作り物なんだって。自分の感情が、行動が、全て作られた物、ふとした時に、自分の存在が消えそうな。そんな感覚に陥ったことはないか?
リズ:え・・うーん・・あまり考えたことは無いですね。多分、一人だったらそんな考えが浮かぶんでしょうけれど、私は旦那様と一緒でしたから。楽しい記憶しかまだ思い出していませんから、あまり上手くは言えないんですけど、作り物でもね、楽しかったり、嬉しかったりする感情に嘘はないと思いますよ。すみません、あまり答えになってないですね。今でも、隣にはエリーさんが居ますからね。人が居れば私は大丈夫なんですよ。
エリー:そうか、お前はそうだよな。悪い、変なことを訊いた。少しばかり、感傷的になってしまったみたいだ。
リズ:ああいえ!良いんですよ。

リアルドールと紅の破壊者ー第七回

前回への続き・・・

メモにはアルバートの誕生日、4月21日と書いてあります。
2人は421で南京錠を・・
リズ:開きました。
エリー:中には何が入ってるんだ?

ブローチみたいなものが見えます。
リズ:え、と、これは・・これ、見覚えがあります。そうだ、これ、旦那さまが付けていた。え、これ、もしかして旦那さまの!?どうしてこんなところに
エリー:いや待て、おかしくないか?よく確認しろ
リズ:あ、すみません、これ、違いますね。裏に私の名前が彫られています。そうだ、これは旦那様に頂いて、お揃いで買ってもらったんでしたね。ブローチを頂いた時の思い出が浮かびました。

ラブドール

アルバート:リズ、リズ、ちょっと来てくれないかい?
リズ:どうされました?あ、そのブローチ、買われたんですか?とてもよくお似合いですよ。
アルバートそう、そのことなんだけど。はい!これ、君にプレゼント
リズ:え?
アルバート僕が付けているこれと同じものだよ。裏に名前も彫ってもらってね。僕とお揃いだ。どうかな、受け取ってくれるかい?
リズ:・・ありがとうございます、とても嬉しいです。でも、受け取れません。気持ちは嬉しいんですが、私は単なるメイドですので、あなたからは髪飾りもこのお洋服も頂きましたけれど、それはドールを所有物として引き立てるものですし。私はドールとして、一人暮らしの旦那さまの補助をするだけですから。そんな、お揃いだなんて・・まるで何か特別な関係があるようではないですか?私のことは、そうやって気になさらなくて良いんですよ。
アルバートうーん、別にドールが主人とお揃いのものをつけることは不自然ではないと思うんだけれど、変なところで頑固だね、君は。じゃあ、このブローチに約束してくれないかい?僕を僕のまま、受け入れてくれると。僕の言葉に、応えてくれると、どうか、これを君に受け取ってほしい。
リズ:なぜですか?どうしてそこまで、私に構うんですか?
アルバートなぜって、だって君のことが、大切だからね、リズ。
リズは現実に戻った。

ラブドール

エリー:どうした?
リズ:旦那様について、少し思い出しました。そうだ、最初の頃は私、旦那様と距離を取っていたんですけど・・根気よく彼が私に話かけてくれて、私を気にかけてくださったんです。私、ドールは人間と節度ある距離を置くべきだと教わっていたので、なんだかそれが覆された気がしたんですよね。このプローチもその時頂いたものです。旦那様との大切な品です。私、ずっとこの中にしまっていたんですね。
エリー:それは良い思い出だな。だが、どうしてそんなに大切なものを宝箱に?宝箱の使い方が少し違うような気がするんだが、ブローチなら、普段から付けるんだから小物箱に入れていれば良いんじゃないか?
リズ:このブローチを付けたことはありません。宝物はね、宝箱に入れておくんです。こんなに綺麗で大切なものは、その箱に入れて、その日の始まりと終わりに少し見るだけで良いんです。あまり触っていると、壊れてしまいますからね。この幸福の摂取は、少しだけが丁度良くて
エリー:そうなのか、それにしても、話を聞く限り、お前の主人はお前を愛していたんだな。
リズ:あ、そうなんです!嬉しいですよね。

ラブドール

リズはブローチ入手しました。
2人は奥の方に進む
リズ:きゃっ!
エリー:!大丈夫か、リズ!
リズ:は、はい!少し服が破れちゃいましたけど、足を引っかけただけで特には問題も・・
エリー:中身が出てるな

リズの脚のところ、破れて赤い中身が出た。
リズ:え?え、何ですかこれ!?赤い、綿?
エリー:そこに座れ。俺が直してやる。

エリーがリズの破れを治し始まった。
リズ:これ、どういうことなんですか?驚いちゃいました。最初は血かと思ったんですけど、私は人間ではないのであり得ませんし。綿だとわかって安心しましたが、どうして赤なんでしょう。
エリー:どうしてだろうな、ドールは全て、内部には赤く染色された綿が入っているんだ。別にだから何だというわけでもない。その事実だけ、ドールを作った奴の考えることは分からないが、人間の模倣ってやつなのかもな。ドールは痛みを感じない。だから針と糸で修復するだけで無かったことにできるんだ。中には綿の他にも、骨として硬い素材のボーンが入ってるんだけどな、まあそれも、技術があれば直せる。

ラブドール

破れたところを修復しました。
エリー:ほら、できたぞ。
リズ:わあ、あっという間に治りました!服も元通りにしてくれて、すごい、プロみたいです!
エリー:ふ、ありがとな。裁縫は得意なんだよ。
リズ:こちらこそ、直してくれてありがとうございます、エリーさん!
エリー:ああ。じゃあ捜索に戻ろう。

つづく・・・

リアルドールと紅の破壊者ー第六回

前回によって続きます!

ラブドール

リズ:あ、私と、旦那様の写真。
エリー:これを持っていた方が良いかもな。形見になるだろう。
リズ:う、あ、写真があるのは嬉しいですが・・形見としてはもっとこう、旦那様の所有物というか・・手紙とか小物とか、アイテム的な物が良くて
エリー:わがままか?
リズ:す、すみません。でもあるはずなんですよ、きっと。
写真を入手した。
ベッドの下に何かあるようだ。
エリー:おいリズ、何か出てきたぞ
リズ:え?あ、これは・・私の宝箱ですね
エリー:鍵がかかってるな。開けてみるか?
リズ:うーん、でも、それは必要ないと思います。何があったとしてもそれは私のものでしょうから。旦那様のものが見つかる訳ではないので・・
エリー:だが、お前の記憶を取り戻す手助けにはなるだろう。何かを思い出すかもしれない。お前の記憶も、先ほどから多少なりとも戻ってきているようだし、どうせならあった方が良いだろう。形見の捜索ついでに、お前の記憶も探してみないか?
リズ:そうですね、ついでに
エリー:そうしたら、俺がお前を破壊する理由も・・
リズ:え?
エリー:いや、なんでもない、じゃあ、鍵を探そうか。この南京錠を開けるには暗証番号が必要みたいだな。
リズ:え?壊して開けないんですか?扉みたいに足や手でバキッと・・
エリー:いやお前、できるが、それをやったら中身ごと壊れるぞ。俺のナイフじゃ南京錠も壊せそうにないしな
リズ:そうですか・・
暗証番号を探し始めていた。

ラブドール

倉庫の隅で
エリー:物がたくさんあるな。もしかしたら中に主人のものが隠れてるかもな。
リズ:さ、探してみましょう!無いですね。入っているのは私が普段使う清掃用具とか、日用品ばかりです。
エリー:そうだな、他を当たってみようか。
また他の所を探し始めた。
エリーは廊下のところ、幽霊を見かけた。
エリー:
リズ:どうしました?早く行きましょうよ。
エリー:ああ、(リズには見えていない、俺の幻覚だろうか。気にしないようにしよう)
幽霊:ねえ
エリー:!!
幽霊:助けて、助けて彼女のことを、助けてあげて
エリー:え??

ラブドール

幽霊が来た、エリーはリズとトランクルームに入った。
エリー:ここはトランクルームか?
リズ:そうみたいですね、不要なものやあまり必要でないものをその部屋に置いていたんだと思います。
エリー:へえ、屋根裏みたいになってるんだな
リズ:あれ?ここ、開きませんね。
エリー:壊そうか?
リズ:ああ、いえ!後回しにしましょうか。他の部屋もまだ調べてないですし。
2人は一階に行きました。
エリー:ここも何も無いみたいだな
リズ:そういえば、どうして記憶のないものは保護できないのですか?ドールの構造を調べるなり、文化の保全としては色々手はあると思うんですが、
エリー:ああ、それ用にはもう数体所有してるからな。それに生き残りのドールの数は多いんだ。戦争が終わり、世間からリアルドールが廃絶されたとしてもまだ表に出ていないだけでどこかに眠っている・・それを全員保護するなんて無謀な話だろ。
リズ:ああ、そうですよね。
エリー:でも、お前のことも本当は・・いや、なんでもない

ラブドール

キッチンで
メモが書かれている。
アルバート 好きな物 芋・煮物・魚
リズ:旦那様は健康的な食べ物が好きみたいですね・・
エリー:食事はリズが作ってたんだよな?
リズ:あ、はい!一応、私はメイドですから。料理洗濯掃除は私の得意分野です!
エリー:家事ができるってのは良いよな。
リビングで
甲冑が置かれている。
リズ:うーん、夜見ると少し怖いですね。
エリー:そうだな。人型ってだけでなぜか怖くなるよな。昔の偉い人間もドールに恐れをなしたんだろうだから、世界から彼らを失くすことを選んだのかもな。普通に考えて人間が作った人形が、自我を持って動くなんてあり得ないしな。
リズ:そう、ですよね。私が存在していること自体、本当に不思議ですよね。
エリー:まあ、昔はそれが当たり前だったはずなんだがなあ・・
2人は外で探索し始めた。
エリー:流石に外にあないかもな。中に戻ろうか
リズ:そうですね。そういえば、この屋敷、どうしてまだ残っているんでしょう?100年も経ったのならとっくに取り壊されていてもおかしくはないと思いますが、
エリー:ああ、ここ、山の上の小規模な集落だったみたいだからな。単に手が回らなかったんだと思うぞ
リズ:なるほど・・

また、2人は屋敷の中に入っていた。
一階廊下のところ、床板は抜け落ちている。
リズ:ここ、どうにかして渡れないでしょうか。エリーさん、ここを渡りたいんですけど、どうしましょうか?
エリー:ん?ああ、それなら俺に任せろ。ちょっと失礼・・
リズ:え?
エリーはリズをお姫様だっこで飛び越えました。
エリー:これでどうだ。
リズ:エリーさん、レディーの体を許可なく触るのはどうかと思います。
エリー:う、ああ・・悪いな
エリーはリズを下した。
リズ:あ、いや・・でも、おかげでこちらに渡ることができました!ありがとうございます!
エリー:どういたしまして。

ラブドール

2人は廊下の深いの部屋に入った。
メモがあります・・なんでしょう

リアルドールと紅の破壊者ー第五回

前回に続けて

リズ:旦那様!
旦那様:あれ、どうしたんだい、リズ。何かあったかな?
リズ:すみません、就寝前に訪問してしまってあ、あの、私、旦那様にプレゼントしたいものがあるんです。
旦那様:プレゼント?
リズ:いつもありがとうございます、旦那さま!こんな私を購入してくれて、優しくしてくれて、一緒に話をしてくれて本当に嬉しかったです。あの、絵を描いたんです。旦那さまに。受け取ってくれると、良いんですが・・
旦那様:・・・ああ、本当に、ありがとうリズ!これは僕かい?そっくりだなあ、君は絵が上手なんだね。とても嬉しいよ。
リズ:え、えへへ。どうにか、私のできることで感謝を伝えたくて喜んで頂いて良かったです。
旦那様:ふふ、君からのプレゼントなんて初めてだね。ありがとう、大切にするよ。ああ、それとね、リズ。緊張しなくていいよ、普段通りでいてくれないかい?だって僕と君は・・

ラブドール

思い出が終わり・・
リズ:・・ああ、これ、私がこの屋敷に来てしばらく経った後に旦那様に贈ったものです。額縁に入れて、ずっと大切にしてくれていたんですね。本当に、嬉しい。でも、何かが引っ掛かります。私と旦那様は主人とメイドの関係なのに、どうして私はこんなことを?会話に、何か別の関係値が見えるような・・ダメです。肝心な部分が思い出せません。
エリー:何か見つかったか?
リズ:あ、いえ、めぼしいものは何も。すみません。ただこの、絵が見つかりましたが、これは旦那様の形見と言うより、私が旦那様に贈ったものですから。少し、性質が違います。
エリー:ああ、この絵。お前が描いたのか
リズ:あ、そうなんです!なかなか上手いと思いませんか?
エリー:ああ、よく描けてるな。俺は絵なんか苦手だから、うらやましいよ。
リズ:そうなんですか?
エリー:ああ、時々絵を使って説明するときには、仲間によく下手クソだとか言われる。俺は一生懸命に描いたつもりなんだが、
リズ:ふふ、それも大切な個性ですよ!
エリー:ありがとな。じゃあどうする?この部屋にはこれ以外に見つからないみたいだ。本人の部屋だし他にも何か出てくると思ったんだが、空き巣、または以前のデストロイヤーにでも盗られたか

ラブドール

リズ:え、ここ、前にもデストロイヤーが来たことがあるんですか!?
エリー:戦時中なら、多分な
リズ:それじゃあ、どうして私はその時に狙われなかったんでしょうか。リアルドールは発信機に反応するんでしょう?エリーさんだってもっと早くに私を見つけてもいいはずなのに
エリー:ドールは、基本的に仮死状態で眠ると発信機には表示されない。監視の隙間をくぐってしまうんだ。ドールは人間と同じように眠れるんだよな。変な話だが。まあそれで、お前は目覚めた瞬間から発信機に表示された。たまたま俺は近くにいたからな、だからすぐに駆け付けることができたんだよ。
リズ:なるほど、そういう仕組みなんですね。でも、仮死状態、って?その仮死状態になるには何か条件があるんですか?普通に眠るだけではダメですよね?
エリー:ああ、それは・・

エリーがリズの襟に付いてた宝石を持って

ラブドール

エリー:この宝石が鍵なんだ
リズ:っ!ち、近い!!前から思ってましたが、エリーさん、距離感がおかしくありませんか!?あ、あの、少し離れてもらえませんか?
エリー:あ、悪い。ついクセで・・
エリーはリズから離れました。

ラブドール

エリー:それで、この宝石はドールの源なんだ。仕組みは分からないが、ドールはそれを身に着けている間だけ活動することができる。ドールを再起不能にさせるなら、その宝石を壊せばいい。デストロイヤーは、この宝石を壊しドールを再起不能にさせることをドール破壊と呼ぶ。ドール破壊にはその宝石を壊すだけで十分だけど、ドール自身はその宝石を壊せないんだ。自殺、いや自壊防止か。ドール本人がそれを破壊すると一定時間空いた後、なぜか元に戻ってしまうみたいで宝石がドールから離れる、その宝石が自身の手で壊されることが仮死状態になる条件だな。まあ、こんな具合だ。納得したか?
リズ:はい、教えてくれてありがとうございます!私は目覚めた時にはこの宝石を身に付けていました。眠ってから目覚めるまで、誰でも私に近づいていないなら、私が、自分の意思で死のうとしたのですか?うーん、よくわかりません。

ラブドール

エリー:さて、この部屋の捜索も終わったことだし、他の部屋を調べてみろか?協力するよ。
リズ:あ、ありがとうございます!どこにあるなんて予想はつきませんが、この部屋に無くても多分どこかにあるはずです。ここは旦那様の家ですからね。手当たり次第に探してみましょう。

エリーと共にこの家を探索し始めた。
一階のある部屋に入った。

リアルドールと紅の破壊者ー第四回

前回によって

エリー:悪い、仕事が先延ばしにされて安心したらどっと疲れが出たみたいで
迷惑かけてすまなかった。すっかり暗くなってしまったな、本当に申し訳ない、明るければ探し物もしやすかっただろうに、明かりを貸すから、これで勘弁してくれ。
リズ:い、いえ。問題ありませんよ!
エリー:そうか。悪いな、じゃあ、行くか
リズ:・・
エリー:どうした?
リズ:あ、いや!そのマスクはどうして、あっ!!つい聞いちゃいましたけど、これ、本人に確認しちゃいけない話なんじゃないですか?し、失敗したかもしれません。
エリー:ああ、これな・・ええと、傷があるんだよ、以前の仕事の時リアルドールにやられたんだ。かなり深手で、人には見せられなくて、まあ、気にするな。マスクをしてるのは俺だけだ。別に仕事においてそれが必要、というわけでもないしな。俺が勝手に、諸事情で付けてるだけだ。
リズ:そうなんですか。やっぱり反撃に遭う、というのはそういうことなんですね。修復の効くドールが、人間に一生消えない傷を負わせる。破壊、「生」を断たれようとされているなら反撃という行為は理解できますけど。それでも、この仕打ちは流石に。すみません、デストロイヤー様。込み入った部分を聞いてしまって
エリー:いや、いいさ。そんな顔するなよ。デストロイヤーになったからにはこんなのは日常茶飯事なんだ、傷を受けるのは慣れてる。気にしないでいい。
リズ:はい。

ラブドール

エリー:ああそれと、デストロイヤー様はやめてくれないか?役職名を呼ばれると背中がむずがゆくなる。
リズ:ああ、すみません!じゃあ、えっと。
エリー:エリーだ。気軽にそう呼んでくれ。
リズ:分かりました、エリー様!
エリー:様も要らない
リズ:わ、分かりました。エリーさん。
エリー:うん、じゃあ、リズ。早く行くぞ、お前の主人の形見を見つけるんだろ
リズ:はい!
エリー:そうと決まれば早速動こうか。形見といえば、本人の部屋を探るのが一番早いな。リズ、部屋の位置は覚えてるか?
リズ:あ、はい!2階にあるはずです!私が案内しますね。
エリー:ああ、よろしく頼む。

ラブドール

2人は二階に到着!
リズ:こちらですよ!この階段を登ればすぐ
エリー:っ!!リズ、危ない!
天井のガレキが落ちった!
エリー:危うくガレキの下敷きになるところだったな。間に合って、良かった。大丈夫か?この家、流石に古いしな。ところどころにガタが来てるみたいだ。
リズ:だ、大丈夫です!エリーさん、ありがとうございます。だけど、急なことで驚きました。やはりこれは心臓に悪いですね。
エリー:ドールだから心臓はないだろ。
リズ:あ、その通りです!
エリー:未だにドールがなぜ人間のように動くのかは不明だけどな。宝石の力だとしても、不思議なもんだ。それにしてもガレキが邪魔で通れないな
そうですね、どうしましょう、別の階段へはこちらから行けないですし。
エリー:心配するな。ここは男の俺に任せろ。
リズ:え?
エリーは一瞬でにガレキを掃除しました。
エリー:ほら、これでどうだ
リズ:す、すごい!!一瞬で!!い、今のどうやったんですか!?もう一回やってください!!
エリー:また後でな。デストロイヤーだからこそできる能力ってやつだよ。
へえ、かっこいいですね!
エリー:どうも。ほら、案内してくれ

ラブドール

リズ:はい。アルバートの部屋、ここですね!入りましょうか。あ、あれ?開きません。
エリー:鍵はかかってないみたいだし、立て付けが悪くなったのかもな。リズ、どいてろ。ほら、開いたぞ。
リズ:すごい。さっきも思ったんですが、エリーさん、大胆ですね。
エリー:これくらいしないと先に進めないからな。行くぞ。
リズ:ここが、旦那様の部屋。
エリー:調べよう。きっと何かがあるはずだ。
リズが調べ始めた。

ラブドール

エリー:そういえば当の本人はどこに行ったんだろうな、お前を置いてリズ、知らないのか?
リズ:わかりません、私目覚めるお前のことはあまり覚えていないので、
エリー:ああ悪い、そうだよな。
リズ:そのクローゼット、どうですか?何かありましたか?
エリー:いや、びっくりするくらい何もないな。中身が丸ごと抜かれているみたいに空っぽだ。どういうことなんだろうな
リズ:丸ごと・・

ラブドール

エリー:何か見つかりそうか?
リズ:いえ、まだ何とも言えません。
エリー:そうか。気が済むまで探せよ。それまで付き合ってやるから。
机の上に、主人の顔が描かれた絵が飾られている。
リズ:これは、これは、私の・・
リズは昔旦那様と一緒にいることを思い出していた。

リアルドールと紅の破壊者ー第三回

エリー:半分正解。さっき言っただろう?保護か破壊かってああ、言い忘れたが、今のデストロイヤーは100前のものとは別物だ。俺たちの組織は戦争後に再結成されたもの。それゆえ、100年前のものとは基本的な活動内容は同じではあるが目的が違うんだ。俺たちの根底の目的は生き残るのリアルドールの保護。100年前を生きたドールなんて今じゃ貴重な文化資料だからな。だけどその時の記憶があるやつなんて滅多に居ないんだ。仕様が否か、不思議なことにこう100年も経つと、記憶が無くなってしまうらしくて。戦争を生き延び、当時の主に文化の記憶がある、稀で限られた者だけ俺が所属する組織で保護しているのさ。

ラブドール

リズ:そう、だったんですか。じゃあ、私があまり過去のことを思い出せないのもそのせいなんですね・・
エリー:さ、これで俺の説明は終わりなわけだが・・何か思い出せたか?
リズ:いえ、すみません。
エリー:はあ、正直で結構。他のドールは記憶がないのに、嘘をついてまで生き延びようとするんだけどな・・お前みたいな良い子を破壊するのは少々心苦しいが、判定は終わった。お前は今の時代を享受する資格はない。そういうことだから、お前を破壊させてもらおうか。
リズ:嫌です。
エリー:は?
リズ:今は断固拒否します!私の願いを聞いてくれませんか。どうか最期に・・旦那様の形見を、探させてください。死ぬならいっそ彼と共に死にたいのです!破壊するならどうか、その後にしてください!
エリー:それを俺が許すと思うのか?

ラブドール

リズ:む、無理なお願いだとは承知しています。それでもどうかお願いします!すこしだけ待ってください。あなたの時間を私にください!
エリー:・・・はあ、わかったよ、それを承諾しよう。別に俺も破壊を急いでいるわけじゃないから・・少しばかり時間を使っても構わない。
リズ:!ありがとうございます!
エリー:形見を探すんだよな。まだこの家にはお前の主人の痕跡が残っているからもしれない。俺も一緒に探してやる。
リズ:え、良いのですか?
エリー:そっちの方が効率的だろ。それと、期限を決めよう。俺は拠点への定時連絡をしない。そうすれば不審に思った。あちらが増援を向かわせるだろう。その形見を見つけるのにはそこまで時間がかからないと思うが、お前が主人の形見を見つけた時か、増援が到着した時がお前の最期だ。
リズ:わかりました。ありがとうございます。デストロイヤー様
エリー:ああ、じゃあ、とりあえず、少し、休ませてくれないか?
エリーはリズに近づいた。

ラブドール

リズ:え、え?デ、デストロイヤー様!?なんだか先程とは雰囲気が・・距離が近いような気がするのですが・・!?
エリー:スイッチを入れっぱなしにするのも疲れるんだよ。こんなの、感情を無にしなければ対処できない。デストロイヤーはドールの反撃にも遭うんだ。
俺だってこんなむごたらしい仕事、好きでしてるわけじゃないんだよ。まあ、これでお前を壊すのが先送りになったわけだから・・悪い、本当に疲れた。少し休ませてくれ。俺は寝る。
リズ:え、ええ?き、期限の話はどうなるのですか!あなたが定時連絡をしなかったら増援が来てしまうんでしょう!?
エリー:ああ、大丈夫大丈夫。拠点からここまではまあまあ遠いしな。心配なら今定時連絡をしょう。それでしばらくは大丈夫さ。
リズ:め、めちゃくちゃです!!
エリーは寝た。

ラブドール

リズ:ほ、本当に寝てしまいました。デストロイヤー様って意外とマイペースな方だったんですね。というか、定時連絡って、腕の、ブレスレット?からできるんですね。不思議な仕組みです。突発的な連絡なので、全然定時ではないと思うんですけど、私が眠っている間に、世界は大分変ってしまったみたいですね。旦那様、少し辺りを調べてみましょうか。彼を置いていくことはできないですけど、少しだけ、この部屋を見て回りましょう。
リズは部屋を探索しています。
いろいろと探してから、リズはエリーの前に行って
リズ:本当に寝ているみたいですね、私の声も届いていないようです。無防備ですね、私に何かされるとか考えないんでしょうか?一応ここは敵地なのにこの状態、危険ですよ、デストロイヤー様。わ、私は何もしませんが!それにしても本当にきれいな赤髪・・ちゃんと手入れがされてあるみたいです。すこしくらい、触ってもいいでしょうか。
リズはエリーを触った。

ラブドール

リズ:うーん、することがありませんね、デストロイヤー様の寝込みに手を出すことしかできないです。ああそうだ、マスクをしたまま寝るのは苦しいでしょう。取って差し上げます。
リズはそのマスクを外したところ、エリーの顔にはひどい傷跡があります。
リズ:そ、そんなひどい傷跡。か、勝手に取ってしまって申し訳ありません!!どうして、こんな。
リズは「デストロイヤーはドールの反撃にも遭うんだ。俺だって好きでこんなむごたらしい仕事をしてるわけじゃないんだよ」と前にエリーの言ったことを思い出した。
リズ:こんなに綺麗 な顔に、傷、なんて、あなたも苦労しているのですね。せめて、あなたが悪い夢を見ないように祈ります。
数時間経った!エリーは目覚めった。

つづく・・・