足フェチの私と臭いフェチの彼女!

ハル:ん・・ん?
なにやら背中に感じる柔らかい感触に目が覚めた。
首を後ろに回してみると、
すびーすびー
可愛いらしい寝息を立てて寝ている彼女が俺の背中に張り付いて寝ていた。
俺の名前はハル。来年、就活を控えた大学3年生だ。俺には大学に入ってからできた恋人がいて、名前はアイ。クールで本好きな可愛い彼女だ。アイは俺にとって人生初めての彼女で、今年で付き合って3年目となる。3年目ともなると初めの頃にあった初々しい雰囲気はなくなって、かなり砕けた態度で接するようになっていた。

ラブドール

アイ:ハル君、髪がボサボサになってる。今日はデートでしょ?ちゃんとかっこよくしてきて。
ハル:ういー
最近では一人暮らししている俺の家で、半同棲を始めている。そんな彼女だがー付き合ってから一度も、俺に甘えてきたことがない。元々クールな性格だから、甘えてこないのかもしれない。しかし彼氏としては・・「ハル君だ~いすき♡」みたいな感じでイチャイチャしたいじゃないか。それを友達のアオに言ったら、「ただのバカップルじゃねえか。そんなカップルは爆発しろ」と呆れた顔で言われた。たしかにその通りだわあ。

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そんなある日のこと。
アイとベッドで寝ている時、背中に感じる柔らかい感触に目が覚めて振り向くと、アイは俺の背中に張り付いていた。しかも、「すうーはあー、すうーはあー」めっちゃ臭いを嗅がれていた。この時は起きように起きれず、寝たフリをしていたがあんまりにも彼女が可愛かったから笑いを堪えるのにこっちは必死だった。その日を境に俺が寝ていると、「ハル君、起きてる・・?起きてないか。よし!」と、そんなことを呟き寝ている俺に抱き着いて臭いを嗅ぐという奇行を繰り返していた。その間、寝たフリをしている俺はなんだか幸せな気分だった。それにしても、どうしてアイは俺が寝ている時にだけあんなことをしているのだろうか・・・。臭いフェチというやつなんだろうけど、それなら言ってくれればいくらでも嗅がせてあげるのに。

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気になった俺は、次にアイが寝ている俺に抱き着いてきたら寝たフリをやめて聞いてみることにした。
アイ:よし、寝てるね。
アイは今日も寝ている俺を発見した後に、寝ているかどうかを確認してから背中に顔をうずめて臭いを嗅いできた。俺は予定通り、そのタイミングで声をかけた。
ハル:なあ、アイさんや。
アイ:すうーはあー、すうーはあー
ハル:あれ?ちょっと、アイさん?
アイ:すうーはあー、すうーはあー
まさか臭いを嗅ぐことに集中して気づいていない!?
それから数分後。我に返ったアイは脱兎の如くに逃げ出して、今は布団の中で籠城していた。
ハル:なあ、アイさんや。
アイ:やめて!話かけないで!ま、まさかハルが今まで起きてたなんて・・!恥ずかしすぎてもう顔が見れないよおおお!
ハル:まあ、俺は気にしてないからさ。とりあえず、布団の中から出て来いよ。
アイ:いや!本当は、私のこと臭いフェチの変態だって思ってるんでしょ!?もう無理死ぬ!
ハル:全然そんなこと思ってないから!よし、分かった!オレも恥ずかしいことを告白するよ!実は俺、脚フェチなんだ。いつもアイの脚を舐めるように眺めてるんだ。
アイ:それは知ってる。
ようやく布団から出てきたアイは、やっぱり恥ずかしそうに視線を彷徨わせていた。
ハル:それで?なんでいつも俺が寝ている間にあんなことを?言ってくれれば、いくらでもやってくれていいのに。
アイ:だ、だって恥ずかしいし・・変態だって思われたくなかったから・・
ハル:だから、こんなことで変態だなんて思わないよ。臭いフェチなんて普通のことだと思うし。
アイ:本当に?運動した後の汗の臭いとか、蒸れた足の臭いがすきでも?
ハル:ごめん、思ってたよりも高度すぎた。
アイ:ほらあああ!やっぱり死んでやるうう!
そう言って、アイは再び布団の中に潜ってしまった。

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普段はクールなアイが実は高度な臭いフェチだったとは。付き合って3年も経つのに、まだまだお互いに知らないことだらけだなと、俺は苦笑を浮かべた。
ハル:なあ、アイさんや
アイ:今、話しかけないで!
ハル:今日、どっかデート行くか?
アイ:行く。
今日も俺の彼女はとても可愛かった。